心の拠り所

インドを独立に向け人々を導いたガンジーは、かのバガヴァッド・ギーターを最高の指針として片時も離すことがなかったと言われています。思想や宗教という欠くことのできない根本が入り混じる大国を背負い、人々の愛を受け継いだガンジーを支えたもの、それがギーターの詩句であったと言います。
クリシュナ神がギーターの中で主として語る究極の信愛は、「行いのすべてを私に捧げ、そして私を愛しなさい」と時に語気を強めて記されます。しかし、その言葉の奥にある深すぎる愛に、私自身、息が止まるほどに引き込まれたことが何度もあったことを思い出します。大国を背負ったガンジーの苦難がどれだけのものであったか計り知れなくとも、その心を支えたものは、やはり真実である神の詩であったのは疑う余地がありません。
あらゆるものに私を見るもの
私にあらゆるものを見るもの
あなたは私から離れることはなく、
私もあなたから離れることはない
(バガヴァッド・ギーター6章30節)
その言葉は揺れ動いて止まらぬ心をしっかりと一点に結びつけ、どんな場面においても、心を平安に包みこみます。クリシュナ神はただ身を捧げることのみを語るのではありません。あなたは既に平穏の中にあるからと、そして、その事実からあなたを引き離す自我は献身によって消えうせるものであるからと、私たちを優しく導いています。
信じるものさえ見えないほどの暗闇にあっても、多くの月日を越え古代から今に受け継がれるこの神の詩だけは、そこに光を灯し続けるに違いありません。心を拠り所とする場があるのは、どんなものにも代えがたい強みとなること、そしてそれだけで人の生は平安に落ち着くことを、ギーターを通してはっきりと理解します。
クリシュナ神の深い愛、そして行いの全てその愛のもとへ捧げるのだと思うと、全ての行いを清く正しく全うせねばと思うのです。そこに、心が揺れる余地はもうありません。
バガヴァッド・ギーターに記される詩句は、揺れる大国を、そして人々の心を支え続けています。色あせることのない美しい言葉に心を預け、ただ成すべく行いにまずは全てを捧げたいと感じています。
(文章:ひるま)