宇宙の女性的な本質、そのエネルギーであるとされるシャクティ。それは、神に内在するエネルギーそのものであり、女神を通じてこの宇宙に現れるものだと言われています。インドの神話では女神の存在が大きく、大いなる力を生み出すものとして、その活躍ぶりは数々の伝説を残しています。
美しさと穏やかさを持ちつつも、時には荒々しく恐ろしいエネルギーを生み出す女神シャクティは、男神シヴァの対極となる母なる神、または自然の力であり、見返りのない愛情を注ぐものであると広く崇められる存在です。
また、ヨーガの中で、シャクティはクンダリニーと呼ばれる超越的なエネルギーとして、私たちの体の中に眠っていると考えられています。そして修行を続ける中でクンダリニーが目覚め、男性原理であるシヴァ神に出会うとき、完全なる力の合一がなされ解脱に至ります。女神たちの力は男神の力を引き出すために必要不可欠なものであり、決して軽視されることはありません。
それは、インドの女性たちを見ていてもはっきりと伝わります。貞節を守り、献身的に夫に尽くすことが大切であるとされる風潮の中で、子どもを産み育てることに情熱を注ぐインドの女性たちは、それだけ生と死に近い、そして偉大な力を生み出す神秘的な存在です。そして、生きるというシンプルな生活に密着する彼女たちの姿を見ていると、優しさの中に見える強さとたくましさにいつも勇気をもらい、その大きさにシャクティの力を垣間見ます。
小さな幸せに喜ぶ大きな笑顔、大変な生活環境の中でも決して歩みを止めないその強さ、時にある悲しみが人間らしく、そして、たまに起こる間違いが謙虚さを与える。男性の影で惜しみない愛情を家族に注ぎ、そして守り続ける女性はシャクティそのものです。
神のエネルギーそのものであるシャクティは、いつもそこに存在します。厳しくも優しい母を慕うように、人々がその力を真摯に求めれば、必ず与えられるに違いありません。
シャクティとは、思いやりや温さ、あらゆるものを生み出す母としての創造的な力を表す言葉でもあります。創造と破壊が繰り返されるこの世界に必要なもの、それは女神のような優しさと強さを兼ね備えたエネルギーなのだと、インドの女性たちの姿を思い出しながら今のこの社会に重ねて見ています。
(文章:ひるま)
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