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フェスティバル

ラクシャー・バンダン2011

インドではこの時期になると、色とりどりの紐を並べるお店で街中が溢れかえります。姉妹が大切な兄弟の手首に、彼らの幸せを祈ってその紐を結ぶ、ラクシャー・バンダンと呼ばれるお祭りが近づいてきた証拠です。兄弟姉妹の絆をきつく結ぶ大切な日のために、女性たちがラーキーと呼ばれるその紐を一生懸命に探している姿があちらこちらに見られます。
一般には、ヒンドゥー暦の中でも神聖であるとされるシュラーヴァナ月(7月下旬から8月にかけて)の満月の日に、ラクシャー・バンダンは祝われます。ラクシャーは「守る」を、バンダンは「結ぶ」を意味するこのお祝いの日に、姉妹たちは兄弟のためにご馳走を準備し、甘いものを口へと運び、そして祈りを込めてラーキーを彼らの手首に結びます。家族が共に過ごすその日、ラーキーを贈られた兄弟たちはそのお返しとして一生姉妹を守ることを約束します。
インドの人々にとって、家族という存在は何にも代えがたいものです。都市では核家族化が進む中でも大家族の概念がまだまだ根強く残り、大変な生活環境の中で、歳老いた祖父母、そして家族のために尽くしながらも弱い立場にある女性を守ることは、兄弟たちにとって当然の役目だとされています。そんな兄弟たちを思う女性たちの心が、ラーキーという神聖な紐を通して祈りとなり、兄弟たちを守ります。
ラクシャー・バンダンの背景には様々な諸説がありますが、叙事詩マハーバーラタの中にも辿ることができます。クリシュナが負った傷からの出血を止めるために、王の妻であるドラウパディーという女性が自ら着ていた絹のサリーを割いて、クリシュナの手首に巻きつけました。クリシュナはその行いに心を打たれ、彼女を一生守ることを誓ったといいます。
ラーキーは家族や親せきの間だけではなく、女性たちが守ってほしいと思う男性に贈るとも言われています。大切な人々を、当然のごとく家族のように受け入れるインドの人々。一人でインドに滞在していても決して寂しい思いをしなかったのは、どんな人でも大切な存在として受け入れるその心の大きさにいつも温かさを感じていたからに違いありません。
今年のラクシャー・バンダンは8月13日。愛情と信頼に溢れた一日が近づいています。インドではこうして、家族を愛する気持ちを表したり、それを神へと捧げるお祝いが今でも多く行われています。伝統に従いながら、見失われがちな人と人の絆をこうして深めていくことに心を捧げるインドの文化、いつまでも失われることなく続くことを願ってやみません。
(文章:ひるま)

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