2017年は6月5日に、とりわけ重要なエーカーダシーを迎えます。エーカーダシーは「11日目」を意味し、月の満ち欠けのそれぞれ11日目に訪れる、ヴィシュヌ神を礼拝する吉日です。次のエーカーダシーは、「ニルジャラ(水の無い)・エーカーダシー」と呼ばれ、断食が重要視されるエーカーダシーの中でも、水すらも飲まない厳しい断食が執り行われる時となります。
毎月2回、一年におよそ24回訪れるエーカーダシーには、それぞれにとても深い神話が伝えられます。その多くは、エーカーダシーが罪を清める吉日であるということを伝えています。
断食や節食が勧められるエーカーダシーでは、特に、穀物を食べてはいけないといわれます。さまざまに伝えられるエーカーダシーの神話には、エーカーダシーにお米を食べると、お腹に虫がわくという、次のような言い伝えもあります。
ある時、ブラフマー神の頭から汗がこぼれ落ちると、その雫が悪魔となり「私に住む場所を与えてください。」といいました。ブラフマー神は、「米の中に住み、エーカーダシーに米を食べた者の中で虫になる。」と述べたと伝えられます。
月の満ち欠けは、私たちの身体と心に大きな影響を与えることが古くから伝えられてきました。食物の消化や吸収は、とりわけ大きな影響力を持ち、エーカーダシーに穀物を食べると、身体や心の働きを妨げるような悪影響が出るといわれることもあります。それは、倦怠感や疲労感であったり、感情の高ぶりや気分の落ち込みであったりするかもしれません。そうした心身の状態は、良からぬ行為を生み出しがちです。
エーカーダシーの断食を通じては、心身の奥深くにまで行き渡る清らかさと、より明瞭になる意識を幾度となく実感してきました。断食は「ウパヴァーサ」と言われ、その言葉には、「神に近づく」という意味があると伝えられます。エーカーダシーは、欲望を制御し、心身を清め、自分自身の本質である崇高な存在に近づく吉日の一つです。
大自然の動きと密接に繋がり、そのリズムの中で幸せに生きる術を伝えてきた古代の叡智。その教えを実践することで、罪深い行為を生み出すことなく、清らかな日々を過ごせるに違いありません。
(文章:ひるま)
参照:https://www.ishtadevata.com/blog/why-cant-we-eat-rice-on-vaikunta-ekadasi.html
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