バガヴァッド・ギーター第6章第40節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

श्रीभगवान् उवाच
śrībhagavān uvāca
シュリーバガヴァーン ウヴァーチャ
クリシュナは語った

śrībhagavān【男性・単数・主格 śrībhagavat】栄光ある方、神聖な神、威厳ある尊者。ここではクリシュナのことを指す。
uvāca【三人称・単数・パラスマイパダ・完了 √vac】[彼は〜した]言う、語る

पार्थ नैवेह नामुत्र
pārtha naiveha nāmutra
パールタ ナイヴェーハ ナームトラ
アルジュナよ、現世においてもない、来世においてもない

pārtha【男性・単数・呼格】[〜よ]プリターの息子。アルジュナのこと。
na【否定辞】〜でない
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)
iha【副詞】ここで[へ・に];この世で、地上で
na【否定辞】〜でない
amutra【副詞】それにおいて;ここに;そこに、そこに向かって;他の世において、来世において

विनाशस् तस्य विद्यते ।
vināśas tasya vidyate |
ヴィナーシャス タッスヤ ヴィディヤテー
彼の滅亡がある

vināśas【男性・単数・主格 vināśa】[〜は、〜が]消失、中止、喪失;分解、破壊、滅亡
tasya【男性・単数・属格、指示代名詞 tad】[〜の、〜にとって]彼、それ、あれ
vidyate【三人称・単数・現在・受動活用 √vid】[それは〜]ある、存在する、見られる

न हि कल्याणकृत् कश्चिद्
na hi kalyāṇakṛt kaścid
ナ ヒ カリヤーナクリット カシュチッド
なぜならば、善行をなす者は、誰もない

na【否定辞】〜でない
hi【不変化辞】なぜならば、〜のために;真に、確かに、実に
kalyāṇakṛt【男性・単数・主格 kalyāṇakṛt】善行をなす、徳のある、情が深い
kaścid【男性・単数・主格、不定代名詞、kim + cit】誰か、誰かある人、何か、何かあるもの

दुर्गतिं तात गच्छति ॥
durgatiṁ tāta gacchati ||
ドゥルガティン タータ ガッチャティ
悪道に行く、アルジュナよ

durgatim【女性・単数・対格 durgati】[〜に、〜を]悲惨、不運、貧窮;地獄
tāta【男性・単数・呼格 tāta】[〜よ]父;親愛なる父よ(長上、優者、小児または弟子に呼びかける語)
gacchati【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √gam】[彼は〜、それは〜]行く、動く、歩む;去る、来る;止む、死す;〜に近づく、〜に達する、〜を得る

श्रीभगवान् उवाच
पार्थ नैवेह नामुत्र विनाशस्तस्य विद्यते ।
न हि कल्याणकृत्कश्चिद् दुर्गतिं तात गच्छति ॥४०॥

śrībhagavān uvāca
pārtha naiveha nāmutra vināśastasya vidyate |
na hi kalyāṇakṛtkaścid durgatiṁ tāta gacchati ||40||
クリシュナは語った。
アルジュナよ、現世でも、来世でも、彼が滅亡することはない。
なぜなら、善行者は誰も悪道に赴かないからだ。