ヴァーストゥの科学

Ancient Hindu temple, Tamil Nadu, India

ヴァーストゥ・シャーストラは、古代インドで成立した建築の科学として知られます。住居の立地や間取りに自然の法則に基づいた調整を加えることによって、家庭にポジティブなエネルギーをもたらすことがヴァーストゥ・シャーストラの主な目的です。それは、自然と人間の間に温かい関係を築き、健康、富、繁栄をもたらすと信じられます。

古代インドでは、寺院を始めとする多くの建築物が、ヴァーストゥ・シャーストラを用いて建設されていたことが研究によって明らかになっています。当時は、現代社会における工学・建築学とは対照的ともいえるヴァーストゥ・シャーストラが取り入れられていました。

ヴァーストゥ・シャーストラの起源は、紀元前6000年から3000年にまで遡るといわれます。その時代、人々が生活を営む上で必要となる基本的な欲求は、自然の要素によって満たされていました。光は太陽によって、清涼さは風によって、水は雨や川によって、暖かさは火によってもたらされるものであり、その時代に成立した建築の科学は、自然の異なる要素が、人間の身体と心に与える影響に基づいています。

多くの研究を通じて、住居のそれぞれの場にはある特定の力やエネルギーがあり、ヴァーストゥに大きな関連があることが見出されてきました。原初のヴァーストゥ・シャーストラは、現代社会に適用できない概念も少なくありません。現代に見直されたヴァーストゥ・シャーストラは、より効率的かつ効果的であると考えられますが、多くの専門家は、太古の基本的な概念をより好みます。ヴァーストゥ・シャーストラを取り入れる際には、それが宗教や慣習に関するものではなく、太古の論理的科学に基づいているということを念頭におく必要があります。

自然の豊かな恵みは、今も昔も、私たちの生活に欠かすことができません。自然との調和に基づくヴァーストゥ・シャーストラは、現代科学が大きな意味を持つようになった今の時代にも、脈々と受け継がれています。

(SitaRama)