ガネーシャ信仰が盛んなインド中西部のマハーラーシュトラ州には、ガネーシャ神を祀る高名な8つの寺院があります。
アシュタヴィナーヤカとして崇められるその8つの寺院には、ガネーシャ神の異なる8つの姿が祀られています。
その中のひとつに、チンターマニと呼ばれるガネーシャ神がいます。
チンターマニは、意のままに願いを叶える宝として尊ばれる宝石です。
かつて、非常に強い力を持つ貪欲なガナという王子が、カピラ仙からチンターマニを奪い取ったことがありました。
チンターマニを取り戻すために、ガネーシャ神の帰依者であったカピラ仙はガネーシャ神に祈り始めます。
その祈りが通じ、ガナはガネーシャ神の力によって倒されました。
ガネーシャ神は、奪われたチンターマニをカピラ仙に返そうとすると、カピラ仙はチンターマニよりも崇拝するガネーシャ神といることを望みます。
そして、ガネーシャ神はカピラ仙といることを約束し、チンターマニを守りながら、この寺院に宿り続けていると伝えられます。
チンターには思考という意味があり、マニには宝石という意味があります。
邪な思いを抱いたガナが倒され、主を思うカピラ仙がガネーシャ神を自分のものにしたこの神話を見ると、正しい思考を持つことが願いを叶える大切な手段であることが分かります。
例えば、引き寄せの法則に見られるように、思考は現実化するということが広く説かれてきました。
しかし、不安定な心の働きを持つ私たちは、前向きな思考だけでなく、どこかで後ろ向きな思考を抱いていることも少なくありません。
そして、無意識のうちに、望まない現実を生み出している可能性もあります。
願いを叶えるには、何よりもまず、正しい思考を生み出す必要があります。
障壁を取り除く神として崇められるガネーシャ神は、英知の神でもあります。
私たちは、そんなガネーシャ神に守られたチンターマニを、内なる世界に宿し続けることが大切です。
それは、邪な思考を取り除き正しい思考を持ち続けることであり、そこではまさに意のままの人生を歩むことができるに違いありません。
(文章:ひるま)
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