今回もお香の話をさせていただきます。
1998年のことですが、ヒマラヤの四大聖地を巡礼後、リシケーシュ(リシケシ)にしばらく滞在していたことがありました。
日本はまだヨーガのブームではなく、街には日本人と思しき人の姿はほとんどなく、ヨーガのアーシュラムにもインド人以外には欧米人が比較的多かったようにように思います。
私は毎朝ガンジス川に面する宿の部屋で瞑想をして、ヨーガをして、その後散歩に出るのを日課にしていました。
散歩はいつも同じコースでした。
毎朝、途中の寺院で焚かれているお香の香りに惹かれて、その寺院の前でしばらく佇むのが習慣になったのですが今思えば、その寺院はクリシュナ寺院で、炊かれていたのはゴーローカ・ナグチャンパだったのだと思います。
何週間か滞在した後、ヨーガの師と、師の高弟で私には師匠筋にあたる女性と合流して同じコースを散歩しました。
途中たまたま貧しい身なりをした盲目の楽士に会ったときに、師匠筋の女性は「この人は本物よ。法悦境に入って演奏しているのがわかる?この人は通行人にではなく、神に向かって歌っているの。」と話してくれました。
当時霊的な眼が全く開いていなかった私は、大いに驚き、かつ納得しました。そしてこれが人生における貴重な体験のひとつになりました。
今でもゴーローカ・ナグチャンパを焚くとその時のことをなつかしく思いだします。
実は、嗅覚はもっとも根源的な感覚であるとともに霊的修練にはもっともキーになる感覚でもあります。
皆さまも、あるお香の香りがご自身の人生のある場面の思い出を引き出すトリガーになっておられたり、これからそうなる方もおられると思います。
お香の香りの中で過去や未来に想いを馳せたり、霊的本質を思索したりすることは、時節柄有益な時の過ごし方なのかもしれません。外出の機会が減っている今だからこそ、豊かなお香ライフを送ろうではありませんか。
(文章:ガネーシャ・ギリ)
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ガネーシャ・ギリ氏共著 『インド占星術と運命改善法』
ガネーシャ・ギリによるヨーガクラス
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