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雑記帳

祖霊の供養

インドでは9月に入ると、続いていた大きな祝祭が落ち着き、凛とした静寂が広がる時間があります。
2週間ほど続くこの時は、ピトリ・パクシャと呼ばれる、先祖供養を行う大切な期間です。
輪廻転生の思想が深く根づくインドでは、私たちは先祖の思いから強い影響を受けていると考えられます。
そんな先祖の思いを清め、魂の解放を願うめに、先祖供養が熱心に執り行われます。

一説に、亡くなった3世代の先祖の魂は、死の神であるヤマが司る天と地の間のピトリ・ローカにいると伝えられます。
ピトリ・パクシャの期間には、その魂が地上に舞い戻ると考えられ、この間に供養を行うことで、先祖の魂は私たちを祝福し、幸せに旅立っていくと信じられてきました。

先祖供養においては、タルパナと呼ばれる儀式が重要視されます。
タルパナは捧げられる供物にあたり、それには、満足する、喜ばせるといった意味があります。

一説に、このタルパナを受けない魂は、この世を彷徨い続けると伝えられてきました。
また、魂に留まる強い欲求は、死後においてもその魂をこの世に閉じ込め、その苦痛は子孫に至るまで、さまざまな影響を与えると伝えられます。
こうした満たされない魂を満足させるために重要視されるのが、タルパナの儀式です。

そして、このタルパナにおいて欠かすことができないものが、水と黒ゴマです。
儀式で唱えられたマントラを通じて、水と黒ゴマから生み出される波動に亡くなった魂は呼び寄せられ、そこで捧げられる供物に満足し、幸せに旅立っていくと伝えられます。

栄養価の高いゴマは、不死の象徴ともされることがあり、生命の科学を意味するアーユルヴェーダにおいては、とりわけ重要な役割を果たしてきました。
特に黒ゴマは、不純物を取り除き、純度を高める優れた力を持つと信じられます。
こうした供物によって先祖の魂は上昇し、私たちは先祖から受け継ぐカルマを解消することができると信じられます。

何よりも、こうした清浄な行為を通じて、私たちは自分自身を清め、より良い道へと進むことができます。
こうして生きる日々は、自分自身をより良い道へと導く大切な機会であることを理解しながら、魂の安寧を願い、今を生きる自分にできることを努めたいと感じます。

(文章:ひるま)

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