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雑記帳

真実に向き合う時間

インドが見せる様々な美しい表情の一つに、ゆっくりと沈んでいく日没があるように思います。辺り一面をオレンジ色に染め、あらゆるものに影を落としながら神聖なガンジス川へと沈む太陽の美しさは、何度も立ち止っては見入るほどでした。それは、日常の中で、そして人生の中でも、僅かながら歩みを止める瞬間であった気がします。
日の出や日の入りはインドの人々にとっても、とても神聖な時間として大切にされています。ブラフマームフルタと呼ばれる最もプラーナ(生命力)が溢れる時間である日の出前、体を浄化し瞑想とともにヨーガの行いが始まります。日没には火が灯され、ガンジス河のほとりでプージャやアールティが続き、人々はそれぞれの想いを小さな灯りとともに母なる河へと流していきます。
白む空と夜のうちに浄化された穢れのない空気の中で行う早朝の瞑想に加え、この沈みゆく太陽とともにじっと自分自身と向き合う時間も大好きな瞬間の一つでした。夜の帳が下り始め、そこが暗闇であるが故に閉じていた目がしっかりと開き、心の奥底にある静寂に辿りつけるような神聖な感覚に包まれたことを覚えています。
瞑想の行いを続けることによって心が静まった時、感覚とは別の所にある至福が現れると言います。聖典、バガヴァッド・ギーターの中でもクリシュナ神は説いています。「五感を超えた理解が到達する無限の喜びを知り、そこに安住すれば真実から離れることはない」と。(6章21節)
太陽が大地に沈みゆくように、自分自身の中に深く入り込んでゆく瞬間は、いつもにも増して真実に近づくような感覚でした。決して暗闇に落ちることはなく、そっと置かれた真実が顔を出すようで、瞑想の深い味わいを始めて知り得たのもこの時だったように思います。
日没の太陽の美しさは、日本であっても変わることはありません。ただ、インドではそれを見つめる時間に終わりがなく、それぞれの人がそれぞれの想いで佇み、歩みを止めた瞬間の中で真実に向かい合っています。その情景の美しさを思い出しつつは早まる日の入りを今日も眺め、真実から離れないよう目を瞑る時間を自身に与えながら、夏の終わりを過ごしています。
(文章:ひるま)

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