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雑記帳

ヴァイタラニー川の導き

この世とあの世の境目にあり、死者が冥界へ行く途中に渡るといわれる三途の川。
死後の世界の概念をくっきりと映すこの三途の川の伝承は、世界のさまざまな文化において見られ、この世を生きる私たちの歩みを照らす指針として流れ続けます。
ヒンドゥー教においては、ヴァイタラニー川がそれにあたります。

川は、多くの文化で沐浴が重要視されるように、穢れを清めるとともに、俗から聖への渡し場になる場所でした。
ヴァイタラニー川は、肉体を離れた魂が死の神であるヤマ神の住処に向かう際、渡らなければならないといわれる奥深い川です。
この川を渡りヤマ神の住処に辿り着くと、そこで生前の行為に基づいて裁きを受けると伝えられます。

善行を積んだ魂にとって、このヴァイタラニー川は甘露で満たされたように美しく見えると信じられてきました。
そして、船頭や聖なる牛の導きによって、容易にこの川を渡ることができると伝えられます。
そうしてヤマ神の住処に辿り着いた魂には、裁きを受けた後、天国の扉が開かれると信じられます。

しかし、悪行を重ねた魂にとっては、この川は血や膿に満ちているように見えるといわれます。
そこには恐ろしい生物が渦巻き、その恐怖を渡る苦しみは、私たちの罪の重さを象徴していると伝えられてきました。
たとえこの川を渡ることができたとしても、ヤマ神の住処に辿り着き裁きを受けた後は、地獄に導かれると信じられます。

一方で、この川を渡ることができなかった場合、その魂は行き場を失い彷徨い続けます。
満たされない魂は、その存在に気づいてもらおうと、さまざまな方法で子孫に訴えかけ、時にはそれが、私たちの歩みに障壁となって現れることがあるといわれます。

子孫が行う先祖供養は、肉体を離れた魂がこの川を渡るための大きな助けになると信じられてきました。
それは、祈念であり、布施であり、慈善であり、さまざまな方法で私たちに託されています。
何より、それ自体が私たちの行為を善行に導き、徳を積み重ねる機会になるものです。

ヴァイタラニー川は、私たちの行為や選択が魂の道程にどれほど影響を与えるかをありありと示しています。
正しい選択をし、善良な行為を続ける意味を思い起こさせてくれる象徴的な存在として流れるその川は、真の価値観や人生の意味を再認識させる力を持っています。
先祖供養や善行は、この世界の枠を超えて魂を救済し、次の世界へと導く大切な役割を果たしているということをこの川に学びたいと感じます。

(文章:ひるま)

※ヴァイタラニー川については、この他にもさまざまに異なる言い伝えがあります。

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