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インド音楽

古代インドのオクターブは、22の微分音に分かれていた。

Indian sitar

インド音楽のドレミの7音は、全体を指して「Sampurna(サンプールナ/完全な)」と呼ばれ、「全て揃った」ということを意味しています。そして、この7音の確立の頃に、各音の名前と由来が付されました。伝承では以下のように言われています。

ドレミのドは、孔雀の声から生まれ、アグニ(火の)神を象徴し、色はピンク、人間に喩えると老人にあたる。レは、牡牛の声から生まれ、ブラフマ神(梵天)を象徴し、色は緑で、初老にあたる。ミは、羊の声から生まれ、サラスワティー(弁才天)女神を象徴し、色はオレンジ、中年にあたる。ファは、鷹もしくは鶴の声から生まれ、マハーデーヴァ(シヴァ)神を象徴し、色は紫、壮年にあたる。ソは、夜鳴き鳥(ナイチンゲール/ブルブル)の声から生まれ、ラクシュミ(吉祥天)女神を象徴し、色は赤、若年にあたる。ラは、馬もしくは蛇の声から生まれ、ガネーシャ(歓喜天)神を象徴し、色は黄、青年にあたる。シは、象の声から生まれ、スーリア(太陽)神を象徴し、色は黒、少年にあたる。などとされます。

もちろん、ヴェーダにも幾つかの学派がありますし、後付けであろうこの音の由来の観念にも幾つかの諸説があるに違いありません。が、おおよそこのような関連が説かれており、これは、古代ギリシアや古代ペルシアにも似たような発想があり、いずれもインドと同様に「音楽療法」とも深く関わっています。

インド科学音楽では、このようにして、ひとつの音「OM」から発し、ドレミの7音が確立し、さらにそれぞれに様々な意味を求めていったのです。

ところが、西洋音楽でも、「ミの♭」や「ファの#」があるように、実際は、オクターブは、七分割されているわけではありません。ちなみに、タイ宮廷古典音楽では、無理矢理七分割したので、楽器が自然に出す倍音から得た音程と歌がズレるという凄いことになっています。また彼のピタゴラス、3倍音を使って12の音程を得ていますが、基音とオクターブ上の音がずれるという問題(ピタゴラスのコンマ)にぶち当たっています。

つまりオクターブは、世界各地で誰もがすっきり割り切れなかったわけで、そのため各地で異なる音程理論が構築されたわけです。古代ギリシアとその弟子の西洋音楽ではオクターブを12の半音に分け、古代ペルシアではその倍の24に分け、弟子のアラブ音楽はそれに倣いましたが、もう一方の弟子のトルコ音楽は48にも細かく分けてしまいました。そして、古代インドでは、オクターブは、22の微分音(Shrti/シュルティ)に分けられていました。

ちなみに、インドではオクターブは「Saptak(サプタク)」と呼ばれます。実はアレキサンダー大王の頃にペルシア、インドとギリシアは姉妹関係や隣人だったことや、インドの二大民族系統の「アーリア系」は、元々ペルシア方面から来たことなどで言葉が似ていて、「インド・ヨーロッパ語族/印欧語族」などと言われます。

オクターブの「Oct」は、「8」を意味し、ドから上のドまでを数えたものですが、インドの「サプタク」の「Sapt」は、ギリシア・ヨーロッパの「Sept」と同様「7」を意味し、ドからシまでを数えたものです。この後もインド音楽の用語ではしばしば「印欧語族」的に似通った語が出て来ます。

それにしても、オリエントの24は、西洋の12と半分は一致するわけですが、インドの22には、ほとんど一致しなくなるのですから困りものです。そして、案の定、10世紀以降、北インドのみならず、南インドも大半がイスラム勢力に支配されて以降は、ほぼ12音に変質してしまったようです。

(文章:若林 忠宏)

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