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雑記帳

ガンジス河の聖なる泉

日が沈む頃、人々の祈りをのせた無数の小さな灯りが、母なるガンジス河に浮かび上がります。太古の昔から、人々のさまざま思いを静かに受け入れてきたガンジス河は、あらゆる罪を清め解脱を授ける究極の存在として、今でも悠々と流れ続けています。このガンジス河の聖なる泉は、どこにあるのでしょうか。

一説に、天を流れていたガンジス河は、人々の罪を清めるために、シヴァ神の豊かな髪に受け止められながら、この地に降り注いだと伝えられます。その天を流れるガンジス河の泉は、ヴィシュヌ神の御足にあると信じられてきました。そこには、ヴィシュヌ神の化身であるヴァーマナと、アスラのマハーバリ王との関係を伝える神話があります。

神々と敵対するマハーバリ王は、地と空と天の三界を支配していました。この三界を取り戻そうと、ヴィシュヌ神は矮人であるヴァーマナに化身し、マハーバリ王に歩み寄ります。そして、三歩分の土地が欲しいと述べ、それをマハーバリ王が快く受け入れると、矮人であったヴァーマナが巨人となり、二歩で二界をまたぎました。最後に、残った領地であるマハーバリ王の頭を踏みしめ、ヴァーマナは三界を取り戻したと伝えられます。

二歩目でヴァーマナが天を踏みしめた時、そこに住まうブラフマー神は敬意を込め、ヴィシュヌ神の御足をカマンダル(壺)に入った水で洗い清めました。そこから流れ落ちた雫が、天を流れるガンジス川の流れを生み出したといわれます。

私たちが触れるガンジス河の聖水は、ブラフマー神の御手、ヴィシュヌ神の御足、シヴァ神の御髪を経て生まれた、何よりも純粋で崇高な存在です。古来より、水は万物を創造する生命の源であり、万物を維持する恵みであり、万物の穢れを除き去る浄めとして神聖視されてきました。

その偉大な力を持つガンジス河は、母なる女神として神格化され、時を超えて崇められています。生と死を司るその大きな力に身を委ねる時、心が安らぎ、肉体と精神が浄化される感覚を幾度となく感じることがありました。移り変わる物事の中で、人々のさまざまな思いを受け入れながら、黙々と流れ続けるガンジス河。この聖なる泉が絶えることなく、いつまでも人々の心に生き続けることを、心から願ってなりません。

(文章:ひるま)

※ガンジス河の誕生には、この他にもさまざまに異なる神話が伝えられます。

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