新月の暗い夜に光を灯し祝福されるディーワーリー祭は、悪に対する善の勝利を祝福する祝祭です。およそ5日間に渡るその祝福では、医神であるダンヴァンタリ神や、豊穣の女神であるラクシュミー女神の降誕を喜ぶ祝福も執り行われます。ダンヴァンタリ神とラクシュミー女神は、ヒンドゥー教の創造神話である乳海撹拌を通じて生まれた、14の宝石に数えられます。
神々と悪魔が協力して行った乳海撹拌は、私たちが歩む霊性修行の道のりそのものです。そして、善と悪が渦巻く内なる世界を撹拌することで得られる14の宝石は、14のシッディとして例えられることがあります。この14の宝石は、主に以下のように伝えられます(聖典によって異なる場合があります)。
・ラクシュミー:豊穣の女神
・アプサラス:天女とも称される水の精
・ヴァールニー:酒の女神
・カーマデーヌ:あらゆる願望を満たす牝牛
・アイラーヴァタ:神々の王インドラ神が乗る白い象
・ウッチャイヒシュラヴァス:7つの頭を持った最高の馬
・パーリジャータ:決して枯れない樹
・カルパヴリクシャ:あらゆる願を叶える樹
・チャンドラ:シヴァ神の頭を飾る月
・カウストゥバ:もっとも貴重な宝石
・シャンカ:勝利の象徴であるホラ貝
・シャランガ:もっとも強い武器である弓
・ダンヴァンタリ:不死の霊薬を持つ医神
・アムリタ:不死の霊薬
これら14の宝石を生み出した乳海撹拌の真の目的は、不死の霊薬であるアムリタを得ることでした。神々と悪魔は、その目的のために懸命に働き、授かったこれらの宝石を分かち合うと、最後にアムリタを手にします。
神々と悪魔のように、私たちは正しい目的を持って、この霊性修行の賜物であるシッディを賢明に用いる方法を学ばなければなりません。自分自身の欲望を満たすためにこれらのシッディを用いる時、それは霊性修行を妨げるものと成り得ます。
神々と悪魔は、自分自身の内なる善と悪の象徴です。正しい目的の下で内なる世界を撹拌し、授けられるこれらのシッディは、善と悪を分別するための学びを私たちに与えてくれるに違いありません。悪に対する善の勝利を象徴するディーワーリー祭を祝福し、世界の多くが平和であることを心から願いたいと感じています。
(文章:ひるま)
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