バガヴァッド・ギーター第4章第38節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

न हि ज्ञानेन सदृशं
na hi jñānena sadṛśaṁ
ナ ヒ ジュニャーネーナ サドリシャン
なぜなら、知識と等しい(浄化具は)ない

na【否定辞】〜でない
hi【不変化辞】なぜならば、〜のために;真に、確かに、実に
jñānena【中性・単数・具格 jñāna】[〜によって、〜をもって]知ること;知識;真の知識、優れた知識;知恵;企図;仮定;意識;感覚器官
sadṛśam【中性・単数・主格 sadṛśa】同じ様子の、似ている、同じような;〜に適当な、〜に適合した;〜の価値ある、〜に相応しい

पवित्रम् इह विद्यते ।
pavitram iha vidyate |
パヴィットラム イハ ヴィディヤテー
この世で、浄化具は存在し(ない)

pavitram【中性・単数・主格 pavitra】[〜は、〜が]浄化の手段、篩(ふるい)、ソーマを漉す用具;供物を浄化するために用いるクシャ草の二枚の葉;浄めの(際に用いる)聖句
iha【副詞】ここで[へ・に];この世で、地上で
vidyate【三人称・単数・現在・受動活用 √vid】[それは〜]ある、存在する、見られる

तत् स्वयं योगसंसिद्धः
tat svayaṁ yogasaṁsiddhaḥ
タット スヴァヤン ヨーガサンシッダハ
ヨーガにより成就した人は、自らそれを

tat【中性・単数・対格、指示代名詞 tad】[〜に、〜を]それ、あれ
svayam【不変化辞】自身(彼自身等);ひとりでに、自ら進んで、自発的に
yoga【男性】ヨーガ、精神の集中、組織的な超脱法、瞑想、静慮、心統一
saṁsiddhas【男性・単数・主格 saṁsiddha】成就された、満たされた;到達された;用意された(食物等)、作られた;回復された、癒された;熟達した;最高目標を達成した、完成した、幸福な、至福を得た
→yogasaṁsiddhas【男性・単数・主格、限定複合語】[〜は、〜が]ヨーガにより成就した者、ヨーガの最高目標を達成した者

कालेनात्मनि विन्दति ॥
kālenātmani vindati ||
カーレーナートマニ ヴィンダティ
時とともに自己の中に見出す

kālena【男性・単数・具格 kāla】[〜によって、〜をもって]時;機会;季節;食事;時間;年、時代;音律;運命;死;死の神
ātmani【男性・単数・処格 ātman】[〜において、〜のなかで]気息;霊魂;生命、自身;本質、本性;特色;身体;知性、悟性;我、最高我
vindati【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √vid】[彼は〜、それは〜]見出す、遭遇する、獲得する、取得する;所有する;探し出す、求める

न हि ज्ञानेन सदृशं पवित्रमिह विद्यते ।
तत्स्वयं योगसंसिद्धः कालेनात्मनि विन्दति ॥३८॥

na hi jñānena sadṛśaṁ pavitramiha vidyate |
tatsvayaṁ yogasaṁsiddhaḥ kālenātmani vindati ||38||
なぜなら、この世で知識に等しい浄化具は存在しない。
ヨーガにより成就した人は、やがて自ら、それを自己の中に見出す。