プリティヴィー・ムドラー

万物を支え、食物を育み、私たちに生きるエネルギーを与え続ける母なる大地。
時に破壊的で、無秩序な姿を見せるも、最後には私たちをあたたかく包み込むその慈悲深い恩寵は、何ものにも代え難いものです。
インドでは古代より、そのエネルギーは女神として崇められてきました。
そして、それは一人ひとりの身体の内にも生きています。

私たちの身体の奥深く、脊椎の基底には、土の要素を持つムーラーダーラ・チャクラがあるといわれます。
そのムーラーダーラ・チャクラには、生命エネルギーの源である、蛇の姿をしたクンダリニーが静かに眠っています。
このチャクラが活性化すると、生きるエネルギーに満たされ、地に足がついたように人生は安定し、豊かさを享受することができると伝えられてきました。

私たちの内にある、そんな土の要素を活性化させるムドラーがあります。
大地を意味するプリティヴィー・ムドラーです。
プリティヴィー・ムドラーでは、親指と薬指の先端をあわせ、残りの3本の指はまっすぐに伸ばします。
どちらの手でも実践できるこのムドラーで重要となるのは、それぞれ火と土を象徴する、親指と薬指です。

このムドラーの実践を通じて親指と薬指を合わせる時、自分自身の内で火の要素が落ち着き、土の要素が向上するといわれます。
5元素で成り立つとされる私たちの身体において、土の要素は身体を構成する骨や筋肉を司り、それは成長や土台としてあらわれます。
一方で、身体の熱を司る火が乱れると、炎症や消化不良といった不調があらわれると伝えられてきました。

このムドラーを通じて生まれるエネルギーは、身体をどっしりと強化するとともに、身体にあらわれるさまざまな症状を癒すと信じられます。
深く影響し合う身体と心を持つ私たちにとって、身体の不調が少しでも軽減すれば、心は自然と安定していきます。
焦りや苛立ちのない落ち着いた心は、自信や気力を生み出し、より豊かな歩みへと私たちを導いてくれるものです。

まずは自分自身のエネルギーの源につながり、健やかな身体を築きながら、揺らぐことのない心を育むこと。
そうして一人ひとりの心身から生み出される安定は、この大自然にも、大きな平安をもたらすはずです。
こうしてシンプルに実践できるムドラーを通じて、世界の平安を願いたいと感じます。

(文章:ひるま)