インドを旅行したり、その文化に触れたり、また学んだりする時、まず覚えるものに「ナマステー」という言葉があると思います。挨拶として広く用いられるこのナマステーには、手と手を合わせる行いも欠かせません。それはアンジャリ・ムドラーといわれ、祈りや瞑想、またヨーガの実践においても同じように行われるものであり、ナマステーと共にとても大切な意味を持っています。
両手を合わせながら交わされる挨拶「ナマステー」には、「あなたに敬礼をします」という意味があります。それは、あなたの内なる神性を礼拝することを意味しています。ヒンドゥー教の思想では、誰もが神のあらわれであると信じられています。このナマステーでは、一人一人の内にその神を認識し、そして礼拝をする、とても神聖で霊的な意味が秘められています。
そして、両手を合わせるアンジャリ・ムドラーは、親指が軽く胸骨にあたるように、胸のチャクラの前で手を合わせる行いです。(親指が鼻、または眉間にくるように手を合わせることもあります。)胸のチャクラは「心の座」とも言われ、情が溢れ愛が満ちる場として知られています。その中心で手と手を合わせる時、異なるものが一つとなり、大きな愛に包まれます。それはまた、「あなた」と「わたし」の神性を合わせる行いに他ありません。
右手と左手は、相反するものの象徴です。清浄と不浄、陰と陽、男性と女性、または自分と他者、さらには梵と我。ヨーガや瞑想において、このムドラーを実践する時、とても大きな安らぎを感じることがあります。自分自身の内の相反するものが一つになる感覚、そうしてはかられる均衡は、確かな安定をもたらしてくれるのだと実感します。
あらゆるものに神を見出し、一つに繋ぐ行い。ナマステーと両手を合わせる行いに秘められた深い意味に気づきながら、その大切な教えを意識的に実践してみるのも良いかもしれません。個々の結びつきが強まる時、教えが伝えるように、世界は大きな平和に包みこまれるのだと感じています。
(文章:ひるま)
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