これまでの世界のあり方に変容が求められる今、慣れない環境や大きな変化に、不安や緊張を感じることもあるかと思います。
集中力や記憶力、創造力や発想力が低下し、頭がうまく働かないと感じることも少なくありません。
そんな時は、古代から受け継がれる霊的叡智を取り入れながら、自分自身と向き合うことが大きな助けとなります。
インドには、脳力を上げるムドラーとして実践されるハーキニー・ムドラーが伝わります。
ハーキニーは、第3の目ともいわれる6番目のアージュニャー・チャクラを司る女神として知られます。
それ故、このムドラーは第3の目を呼び覚ますムドラーとしても伝えられてきました。
ハーキニー・ムドラーでは、まず胸の前で左右の手の平を合わせます。
そして、左右の指先は軽く合わせたまま、左右の手の平を離し空間を作ります。
第3の目に焦点を合わせ、ゆっくりと呼吸を続けます。
その際、息を吸う時に口蓋に舌をあて、息を吐く時に舌を離します。
この修練を繰り返すのが、ハーキニー・ムドラーです。
親指は火、人差し指は風、中指は空、薬指は地、小指は水というように、5本の指にはそれぞれ5元素の象徴があります。
このムドラーで5本の指の先端を合わせることで、身体内の5元素が穏やかに調和するとされてきました。
その5元素は、1番目から5番目のチャクラに対応するものであり、このムドラーは5つのチャクラに調和を生み出すとも伝えられます。
そして、6番目のチャクラに座すのがハーキニー女神です。
そこでは、2つの花弁を持つ美しい蓮が開花しています。
6番目のチャクラは、身体の左右を巡るエネルギーの通り道、イダーとピンガラの2つが交わる場所とされてきました。
それは、左脳と右脳の2つの均衡を取る場所でもあります。
ここに焦点を当てながら呼吸の調整を行えば、左右の鼻孔を通じた呼気の流れが左脳と右脳に均衡を生み出すとされます。
何より、右手と左手は、それぞれ左脳と右脳に繋がる身体の部位として伝えられるものです。
それらを合わせ呼吸と向き合う時、論理的で現実的な左脳と、直感的で空想的な右脳という、異なる働きをする左右の脳の均衡が取られ、優れた能力を発揮することができると伝えられます。
このムドラーを通じては、第3の目の覚醒ともいえるような思考の明瞭さを得るとともに、身体に落ち着きがもたらされることを強く実感します。
全身で感じるその調和は、深い喜びと幸福を呼び覚まし、健やかな日々を生み出してくれるものです。
確かな喜びへと導いてくれるこうした叡智を取り入れながら、どんな時も心穏やかに過ごすことをを心がけたいと感じます。
(文章:ひるま)
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