ヴィシュヌ・サハスラナーマ序章第3節

・vyAsam vasishtha naptAram shakteh pautram akalmasham
parAsharAtmajam vande shukatAtam taponidhim
・ヴィヤーサン・ヴァシシュタナプターラン・シャクテーヘ・ポウトラマカルマシャム
パラーシャラートマジャン・ヴァンデー・シュカタータン・タポーニディム
・意味:ヴィヤーサはヴァシシュタとシャクティの偉大な孫であり、
パラーシャラの息子、シュカの父である。非の打ち所がない威厳に満ちた方、
ヴィヤーサに敬服いたします。

ヴィシュヌ・サハスラナーマの序章第3節です。
聖仙ヴィヤーサは、マハーバーラタの作者といわれています。またヴェーダやプラーナの編者ともいわれています。
ヴィシュヌ派の中には、聖仙ヴィヤーサをヴィシュヌの化身とみなす向きもあり、またチランジーヴィーと呼ばれる、不死の肉体を持つ8人のうちの1人と数えられ、現在も生き続けていると信じられています。
このマントラが収録されているCDには以下のCDがあります。
・「シュリー・ヴィシュヌ・サハスラナーマム&ラクシュミー・サハスラナーマム」(トラック1)

ヴィシュヌ・サハスラナーマ序章第2節

・yasya dviradavaktrAdyAh pArishadyAh parah shatam
vighnam nighnanti satatam vishvaksenam tamAshraye
・ヤスィヤ・ドヴィラダヴァクトラーディヤーハ・パーリシャディヤーハ・パラハ・シャタム
ヴィグナン・ニグナンティ・サタタン・ヴィシュヴァクセーナン・タマーシュライェー
・意味:かつて数多くの障碍を防いだ太古の聖仙や象を率いる
ヴィシュヴァクセーナを讃えます。

ヴィシュヌ・サハスラナーマの序章第2節です。
この詩節は、ヴィシュヌの軍隊長といわれるヴィシュヴァクセーナに捧げる詩節で、ヴィシュヴァクセーナ・ディヤーナムともいわれています。ヴィシュヴァクセーナは、意のままに生命を創造・破壊する力があったといいます。
このマントラが収録されているCDには以下のCDがあります。
・「シュリー・ヴィシュヌ・サハスラナーマム&ラクシュミー・サハスラナーマム」(トラック1)

ヴィシュヌ・サハスラナーマ序章第1節

・shukla ambara dharam vishnum
shashi varnam chatur bhujam
prasanna vadanam dhyAyet
sarva vighnopa shAntaye
・シュクラームバラダラン・ヴィシュヌン
シャシヴァルナン・チャトゥルブジャム
プラサンナヴァダナン・ディヤーイェートゥ
サルヴァ・ヴィグノーパ・シャーンタイェー
・意味:白衣を着られる方、
月の色をした四本の腕をもつ方、
穏やかな表情をした方、
一切の障碍を滅するヴィシュヌを瞑想いたします。

ヴィシュヌ・サハスラナーマの序章第1節です。
ヴィシュヌ・サハスラナーマ(千の御名)は、ヒンドゥー教でもっとも頻繁に唱えられるストートラのひとつです。
ヴィシュヌ・サハスラナーマのもっとも有名な形式は、マハーバーラタに見ることができます。
ヴィシュヌ・サハスラナーマを唱えること、聞くことによる功徳もマハーバーラタの中に記されています:
・敵を避けること、戦闘における勝利、富、喜び、幸福、子孫の繁栄
・名声、繁栄、勇気、活力、強さ、美、恐怖を滅すこと、災難を避けること、病の治癒
・正義、知性の獲得、罪を避けること
・魂の原点、正しい行為の源、一切の知識と存在の基礎等
このマントラが収録されているCDには以下のCDがあります。
・「シュリー・ヴィシュヌ・サハスラナーマム&ラクシュミー・サハスラナーマム」(トラック1)
・「Sacred Chants of Devi」(トラック1)

オーム・クリーム・ナマハ

・Om klIm namah
・オーム・クリーム・ナマハ

ルドラークシャ・ビーズの3面に対応することで知られるビージャ・マントラです。
「クリーム」は原初のエネルギー、カーマ神、クリシュナ神などを象徴する種子であるといわれています。
このビージャ・マントラを復唱することで、自身の意識が徐々に拡大し、やがては宇宙全体を包み込み、自己意識と宇宙意識が一体化するといわれます。
このマントラが収録されているCDには以下のCDがあります。
・「Rudraksha 平安、繁栄、健康のためのマントラ」(トラック3)

オーム・フーム・ナマハ

・Om hUm namah
・オーム・フーム・ナマハ

このマントラは、ルドラークシャ・ビーズの7面や8面に対応するマントラとして知られています。
「フーム」は、心的な炎や熱的力をあらわし、火天アグニをあらわすといわれます。
ホーマ、ヤジュニャ(護摩供養)などで、炎に供物を捧げる際にも使用されます。
この神聖な炎のおかげで、神々が私たちの元に舞い降りたり、その逆に、私たちが神々の元へ昇華することができるといわれます。
またこのマントラは、シヴァをあらわすマントラであるとともに、ドゥルガーの別名であるチャンディー(恐ろしい女の意味)をあらわすともいわれます。
ネガティブな影響を破壊し、この上ない情熱や活力を生み出すマントラとされています。このマントラが収録されているCDには以下のCDがあります。
・「Rudraksha 平安、繁栄、健康のためのマントラ」(トラック7、8)

ガネーシャ・パンチャラトナム第6節(結び)

・mahA ganesha pancha ratnam Adarena yo anvaham
prajalpati prabhAtake hrudi smaran ganeshvaram
arogatAmadoshatAm susAhitIm suputratAm
samAhitAyurashta bhUtim abhyupaiti sochirAt
・マハー・ガネーシャ・パンチャ・ラトナマーダレーナ・ヨーンヴァハム
プラジャルパティ・プラバータケー・フルディ・スマラン・ガネーシュヴァラム
アローガターマドーシャターム・スサーヒティーム・スプトラターム
サマーヒターユラシュタ・ブーティム・アビュパイティ・ソーチラートゥ
・意味:このマハー・ガネーシャ・パンチャ・ラトナムを、信愛を持って毎日瞑想する人、
早朝にガネーシャを心に描く人は、健康な人生、罪からの解放、そして優れた息子を授かり、
長寿と精神的・肉体的な豊かさを手にするでしょう。

ガネーシャ・パンチャラトナム第6節(結び)です。
パンチャ・ラトナムは、5つの宝石の意味です。この詩節で讃えられているガネーシャの特性を、日々想い巡らし、ガネーシャを身近に感じ親しみを抱くならば、ガネーシャの恩寵が降り注ぐといわれています。その恩寵は、まさに何物にも代えがたい至宝の宝石となるでしょう。
このマントラが収録されているCDには以下のCDがあります。
・「Beginning Shlokas in Song and Chant」(トラック16-17)
・「ガネーシャ・サハスラナーマム&ガネーシャ・ストートラ」(トラック2)
・「シュリー・ガナパティ・ヴァンダナ」(トラック20)
・「Ganesh Bhakti(MP3)

ガネーシャ・パンチャラトナム第5節

・nitAnta kAnta danta kAnti mantakAnta kAtmajam
achintya rUpa manta hIna manta rAya kruntanam
hrudantare nirantaram vasantameva yoginAm
tamekadanta meva tam vichintayAmi santatam
・ニターンタ・カーンタ・ダンタ・カーンティ・マンタカーンタ・カートゥマジャム
アチンティヤ・ルーパ・マンタヒーナ・マンタラーヤ・クルンタナム
フルダンタレー・ニランタラン・ヴァサンタメーヴァ・ヨーギナーム
タメーカダンタ・メーヴァ・タム・ヴィチンタヤーミ・サンタタム
・意味:比類なく魅力的な美しい一本牙の方、死を征服するシヴァの息子、
想像を超えた姿の方、無限の広さを持ち障碍を引き裂く方、
花の盛りの候のようにヨーガ行者の心に永遠に住む方、
そのような一本牙の神に常に瞑想いたします。

ガネーシャ・パンチャラトナム第5節です。
ガネーシャには、エーカダンタ(一本牙)という別名があります。
ガネーシャの牙が一本である理由は、有名な神話としては以下の3つがあります。
・パラシュラーマがシヴァを訪ねた時、シヴァが就寝中のため入室を拒んだガネーシャと戦闘になってしまった。パラシュラーマがシヴァから与えられた斧をガネーシャに投げた際、父を慕うガネーシャが反撃せずに牙で受け止めたために断ち切られた。
・聖仙ヴィヤーサの祈りに応え、彼の語る物語の重要性を理解したガネーシャは、自らの牙を犠牲にして「マハーバーラタ」を書き記した。
・夜空に浮かぶ月に自らの失態を嘲笑されたため、牙を折って月に投げつけた。
このマントラが収録されているCDには以下のCDがあります。
・「Beginning Shlokas in Song and Chant」(トラック16-17)
・「ガネーシャ・サハスラナーマム&ガネーシャ・ストートラ」(トラック2)
・「シュリー・ガナパティ・ヴァンダナ」(トラック20)
・「Ganesh Bhakti(MP3)

ガネーシャ・パンチャラトナム第4節

・akinchanArtimArjanam chirantanokti bhAjanam
purAri pUrva nandanam surAri garva carvanam
prapancha nAsha bhIshanam danamjayAdi bhUshanam
kapola dAna vAranam bhaje purAna vAranam
・アキンチャナールティマールジャナム・チランタノークティ・バージャナム
プラーリ・プールヴァ・ナンダナム・スラーリ・ガルヴァ・チャルヴァナム
プラパンチャ・ナーシャ・ビーシャナン・ダナムジャヤーディ・ブーシャナム
カポーラ・ダーナ・ヴァーラナム・バジェー・プラーナ・ヴァーラナム
・意味:極貧の状態を拭い去る方、太古の時代より礼拝されてきた方、
シヴァ神の長男である方、神々の敵のエゴを食べ尽くす方、
世界が消滅する時に畏敬される方、ダナンジャヤのように蛇を装飾として身につける方、
発情する象のようにどう猛な、太古の象の神に帰依いたします。

ガネーシャ・パンチャラトナム第4節です。
4行目のダーナ(dAna)には、さまざまな意味がありますが、ここでは「発情、精液」などと訳されるのが一般的なようです。国内に伝わる歓喜天(ガネーシャ)は、男天・女天が抱擁している姿で描かれることが多く、また気性の激しい神とされておりますが、この詩節では、そのガネーシャの一面が記されています。
このマントラが収録されているCDには以下のCDがあります。
・「Beginning Shlokas in Song and Chant」(トラック16-17)
・「ガネーシャ・サハスラナーマム&ガネーシャ・ストートラ」(トラック2)
・「シュリー・ガナパティ・ヴァンダナ」(トラック20)
・「Ganesh Bhakti(MP3)

ガネーシャ・パンチャラトナム第3節

・samasta loka shankaram nirasta daitya kunjaram
daretarodaram varam varebhavaktram aksharam
krupAkaram kshamAkaram mudhakaram yasaskaram
namaskaram namaskrutAm namaskaromi bhAsvaram
・サマスタ・ローカ・シャンカラム・ニラスタ・ダイティヤ・クンジャラム
ダレータローダラン・ヴァラン・ヴァレーバヴァクトラマクシャラム
クルパーカラン・クシャマーカラン・ムダーカラム・ヤシャスカラム
ナマスカラン・ナマスクルターム・ナマスカローミ・バースヴァラム
・意味:全世界に幸福をもたらす方、象の悪魔を倒す方、
大きなお腹をもつ方、祝福に満ちた象の頭をもつ方、
不滅で慈悲に満ち、すべてを赦し、楽しみを分け与える方
すべての信者に英知を授ける輝ける方に帰依いたします。

ガネーシャ・パンチャラトナムの第3節です。
ここでいう全世界(サマスタ・ローカ)は、物質的な世界のみならず、霊的な世界を含むとされます。私たちの住むこの世界は、霊的な世界における目に見えない波動的な要素が元になり、その要素に基づいて物質的な世界が形成されると考えられています。
このマントラが収録されているCDには以下のCDがあります。
・「Beginning Shlokas in Song and Chant」(トラック16-17)
・「ガネーシャ・サハスラナーマム&ガネーシャ・ストートラ」(トラック2)
・「シュリー・ガナパティ・ヴァンダナ」(トラック20)
・「Ganesh Bhakti(MP3)

ガネーシャの神通力

ガネーシャは、インドや東南アジアをはじめ、世界中で人気のある象の頭をもつユニークな姿をした神様です。
朝起きたら「おはよう」、ご飯を食べる前には「いただきます」というように、仕事、勉強、旅行など、物事をはじめる前には、除災厄除を願って最初にガネーシャへの礼拝が行われます。
インドの聖典では、現代はカリ・ユガと呼ばれ、ダルマ(正義)がアダルマ(不正)に支配される時代であるといわれます。このような時代にあって、ガネーシャ信仰は発祥の地インドでも形骸化しつつあり、ガネーシャは空想上の偶像に過ぎないと考える人が多くなっているようです。しかし、信仰深い人たちの間では、ガネーシャが常に私たちを見守り、身の回りのさまざまな便宜を図っていることは疑いの余地がありません。
シャイヴァ・アーチャーリヤによるガネーシャ讃歌では、ガネーシャの5つの神通力が讃美されています。ここでは、ガネーシャがもたらす5つの神通力を見ていきましょう[1]。
ガネーシャの1番目の神通力は、家族の調和です。すべての物質は原子から構成されるように、家族は人類の最小の構成単位です。家族の調和なくして、人類の幸福はあり得ません。ガネーシャは、家族間の調和をはかり、愛を浸透させる神通力があります。家族が強い絆で結ばれ、お互いに信頼し、愛し合うこと。すべてはガネーシャの恩寵により実現されます。
ガネーシャの2番目の神通力は、親戚や血縁者、隣家や友人に及ぶ調和です。親戚、隣家や友人は、コミュニケーション不足のために些細なことで不調和となりがちです。ガネーシャへの真摯な祈りや礼拝は、このような付き合いにおいて、調和をもたらす神通力があるといわれます。
ガネーシャの3番目の神通力は、関わり合うすべての人々との調和です。職場であれば同僚そして上司や部下、学校であれば先生や友人など、社会に出ると様々な人との関わり合いは避けることができません。そのような関わり合いを通して、社会は成り立っています。そうして、経済が形成され、物や通貨が滞りなく流通します。人々が幸せに暮らせる社会には、安定した流通が欠かせません。財運向上の神様として崇められるガネーシャは、個人的な財運のみならず、世界経済維持のためにも欠かせない神通力をもちます。
ガネーシャの4番目の神通力は、発展的な文化・文明活動です。学問・芸術の神としても崇められるガネーシャは、人類の文化・文明活動を支える側面を持ちます。魅力的な音楽、神秘的な絵画や彫像、驚きと発見をもたらす科学や文学の数々……人々の心に潤いと安らぎをもたらす文化・文明活動は、ガネーシャの恩寵なくしてあり得ません。また先祖礼拝、神々への祭祀などの宗教活動も、ガネーシャの神通力により支えられています。
ガネーシャの5番目の神通力は、ダルマ(美徳、正義)の確立です。神への真摯な愛、人々への献身、無私の奉仕。このようなダルマに則った活動は、霊的成長のために欠かせない重要な要素です。ダルマが衰えるとき、至高神はさまざまな姿をとってダルマを復興すると、インドの聖典では述べられています。ガネーシャは、主ブラフマンの化身であり、人々の霊的成長に欠かせない神通力を持ち合わせています。
こうしてみると、太陽が日の恵みを与えるように、雨が人々の喉の渇きを潤すように、ガネーシャの神通力は自然の中にありふれた身近な恵みに感じられるかもしれません。しかしそれは、身近にあるものが実はもっとも重要なものであることの証でもあります。
今日もガネーシャは、見えないところで家族の幸せを支え、経済を支え、ダルマの復興を支えているはずです。そのようなガネーシャの恩寵は、私たちの生活に欠かすことができません。毎日の生活が無事に送れることに感謝しつつ、今日も一日を、ガネーシャの礼拝から始めてみてはいかがでしょうか。
7月7日(火)は、グル・プールニマ(師匠を讃える満月祭)です。世界の主であり、万人のグルであるガネーシャの祝福がありますように、お祈り申し上げます。
参考文献
[1]Satguru Sivaya Subramuniyaswami, Loving Ganesha, Himalayan Academy, India, 2000
※この原稿は、「ハムサの会 会誌No.21 2009年5月号」に掲載された記事に加筆・修正を加えたものです。