スピリチュアルインド雑貨SitaRama

論文紹介

悠久の音に込められた癒し:ヴェーダの詠唱が心にもたらす影響

現代社会の喧騒の中で、私たちは知らず知らずのうちにストレスを抱えています。そんな時、古代インドに伝わるヴェーダの叡智に目を向けてみると、意外な解決策が見つかるかもしれません。インドの心理学専門誌『International Journal of Indian Psychology』に掲載された「ヴェーダの詠唱を聴く人の状態不安と怒りのレベル」と題された研究は、まさにその可能性を示唆しています。

ヴェーダの伝統に迫る

ユネスコの「人類の口承及び無形遺産の傑作」に登録されているヴェーダは、単なる古代文献にとどまらず、知識と精神性の宝庫です。ヴェーダには様々な実践方法が含まれていますが、中でもマントラの詠唱は重要な要素のひとつ。今回の研究では、その詠唱を“聴く”だけでも、心の健康に良い影響があるのではないか、という仮説が検証されました。

精神修養に科学的アプローチ

ヴェーダのマントラは言葉というよりも、エネルギーを帯びた「音」。発声したり聴いたりすることで神経系や内臓に働きかけ、穏やかで安心した状態をもたらすと考えられています。本研究は、こうしたスピリチュアルな伝統と科学的な探求をつなげることで、古くからの実践が現代世界に与える具体的な恩恵に光を当てています。

研究方法と結果

対象となったのは健康なボランティア100名。全員がヴェーダの詠唱を聴く前と後に、「状態‐特性不安検査」や「状態‐特性怒り表現検査‐2」といった心理テストを受けました。その結果、ヴェーダの詠唱には状態不安と怒りを大幅に軽減する可能性があることが判明し、その鎮静作用と心理的な効果が裏付けられました。

今後の可能性

この研究は、心の健康を向上させるための非侵襲的な(体に負担をかけない)方法を探るうえで、新たな道を開くものです。ヴェーダの詠唱をただ聴くだけでもプラスの効果が見られたということは、科学の視点から伝統的な実践を見直すきっかけにもなります。同時に、サンプル数の少なさや対照群(詠唱を聴かないグループ)がない点など、今後の研究でより詳しく調べることが必要だとされています。

最後に

ストレスや不安が身近になった現代において、ヴェーダのマントラに秘められた力を活用することは、心安らぐ時間を取り戻す手段になるかもしれません。この研究は、伝統的な手法が今の時代にこそ役立つことを浮き彫りにしただけでなく、それらを現代人の健康管理に取り入れる道筋をも示しています。スピリチュアリティと科学が融合した未来には、もしかしたら太古の響きの中に、より穏やかでバランスの取れた心のあり方が見つかるのかもしれません。

参照:
Dhanaraj, K., & Srinivasan, V. B. (2019). State Anxiety and Anger levels among listeners of Vedic Mantra Chanting. International Journal of Indian Psychology, 7(1), 887-891. DIP:18.01.099/20190701 DOI:10.25215/0701.099.
https://ijip.in/wp-content/uploads/ArticlesPDF/article_fd1626942edc6b31ad9e19eba10e0e8c.pdf

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


RANKING

DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  1. 1
  2. 2
  3. 3

CATEGORY

RECOMMEND

RELATED

PAGE TOP