2021年は2月11日に、太陽が北方へ回帰するウッタラーヤナ(冬至から夏至の6ヶ月間)に入って最初の新月を迎えます。この新月は、霊性修行を行う重要な時であるといわれます。
マーガ月(1月~2月)の新月となるこの新月は、マウニー・アマーヴァシャーと呼ばれ、1年に訪れる新月の中でもとりわけ重要な新月とされます。マウニー・アマーヴァシャーは沈黙の新月を意味し、インドの各地ではさまざまな行いが執り行われます。
満ち欠けをする月は、変化をする私たちの心の象徴として捉えられてきました。喜びや悲しみ、慈しみや憎しみ、月はそうした変化に富む私たちの心のようであり、実際に、月の満ち欠けのエネルギーは、私たちの心に大きな影響を与えるといわれます。この神聖な新月の時、心の平安を得るために実践されるのが、沈黙の行いです。
沈黙は、マウナと呼ばれるヨーガの修練の一つであり、霊性を育む大切な術として広く実践されています。自分自身の本質に気づくための大切な行いとして、実際にヨーガの修練においては、沈黙を実践する時間が度々あります。
心にふとあらわれる感情や思考から生まれる言葉に自分自身を重ねる私たちは、簡単に自分自身の本質を見失う瞬間にあふれています。湧き出る感情や思考のままに言葉を操り、その結果に苦しむことも少なくありません。しかし、決して嘘をつくことがない沈黙は、いつも変わらずにある自分自身の本質に気づかせ、確かな平安を授けてくれるものです。
マウナとは、単に言葉を発しない沈黙を意味するものではありません。それは、心の動きが静まった、静寂を意味するものです。この新月を通じては、内観する時間を過ごして見るのも良いかもしれません。その実践を通じて、大きな平安が授けられますよう、心よりお祈り申し上げます。
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