心身に不調が生じやすい季節の変わり目。
インドでは、大自然を動かす女神たちへ祈りを捧げながら、自分自身と向き合う時を過ごします。
その期間は9日間に渡り、ナヴァラートリとして祝福が行われ、その最後にはラーマ・ナヴァミーが祝福されます。
ラーマ・ナヴァミーは、正義の化身であるラーマ神が降誕した時として祝福される時です。
ナヴァラートリを通じて自分自身の心身と向き合い、浄化を努めた後、私たちはその内で正義であるラーマ神の誕生を祝福します。
2021年のラーマ・ナヴァミーは、4月21日です。
魔王のラーヴァナを倒すラーマ神の歩みが壮大に綴られた、トゥラシーダーサのラーマチャリタマーナサがあります。
人生という戦場を生きる私たちに教えを示すその美しい叙事詩の中に、ラーマ神とヴィビーシャナのある対話があります。
ヴィビーシャナは、ラーヴァナの弟でありながら、ダルマを守る心の清い者でした。
ラーマ神とラーヴァナの戦いにおいて、戦車を操る重装備のラーヴァナに対し、裸足で立ちはだかるラーマ神を見たヴィビーシャナは、動揺し不安に駆られます。
その不安をラーマ神に打ち明けると、ラーマ神はいかなる戦いにも打ち勝つ装備について説明し始めました。
その装備とは、次のようなものでした。
・勇気と忍耐という戦車の車輪
・真実と美徳という旗印
・力、識別、自制、慈悲という戦車を引く4頭の馬
・許し、思いやり、公平という戦車を馬に繋ぐ綱
・神の礼賛という熟練の御者
・離欲という盾と、満足という剣
・慈善という斧と、知性という鋭い槍
・高貴な知力という堅固な弓
・純粋で揺らぐことのない心という矢筒
・冷静さとヤマ(勧戒)とニヤマ(禁戒)という種々の矢
・師への敬意という何をも突き通せない鎖
これらの装備をひとつひとつ読み解いていくと、人生という戦場を生き抜く術が見えてきます。
例えば、あらゆる物事に対し中立を保つという離欲を実践することできれば、それは欲望が生み出す苦難から心身を守る盾になります。
その時、人生という戦場において負傷することはないはずです。
事実、これらの高潔な装備を持つ者は、どんな強敵にも打ち負かされないと、ラーマ神はヴィビーシャナに語りました。
人生という戦場における戦いは、時に激化することがあっても、ラーマ神が示す装備があれば、どんな時も強く突き進むことができるに違いありません。
その装備を確かめながら、迎えるラーマ・ナヴァミーを祝福したいと感じます。
(文章:ひるま)
参照:रावण का युद्ध के लिए प्रस्थान और श्री रामजी का विजयरथ तथा वानर-राक्षसों का युद्ध
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