絶えず揺れ動く心を持つ私たちは、生きる日々において多くの相克に直面します。
その心は、まるで人生そのものが戦場であるかのように私たちを挑発することさえあります。
太古の昔から、この揺れる心を制御する術が賢者たちによって探求されてきました。
そんな混沌とした葛藤の中で、心を制御する力を与えてくれる女神がいます。
その女神は、アシュヴァルーダーと呼ばれます。
アシュヴァルーダー女神は、ラリター女神が手にする武器、パーシャ(綱)から生まれたと伝えられる女神です。
ドゥルガー女神の化身であるラリター女神が、悪魔のバンダースラと壮絶な戦いを繰り広げていた時のことでした。
パーシャ(綱)から生まれたアシュヴァルーダー女神は、アパラジータという名前の馬に乗り、手綱で馬を巧みに操りながら、勇敢にもバンダースラに立ち向かいます。
「アシュヴァルーダー」は「馬に乗る者」、「アパラジータ」は「無敵」を意味します。
無敵の馬に乗るアシュヴァルーダー女神は、この世界に存在する幾千もの心を支配する象徴として捉えられます。
古来より、馬は肉体でありそこに宿る感覚器官を暗示するものとして捉えられてきました。
それに乗る私たちは、感覚器官を正しく操るための手綱をしっかりと握らなければなりません。
さもなければ、変化や刺激を好む感覚器官に心が支配され、常に不安や緊張に苛まれる日々を過ごすことになります。
女神は、この世界を動かす力です。
馬に乗り悪と戦うアシュヴァルーダー女神を瞑想する時、私たち自身の内に宿るその神聖な力が目覚め、感覚器官を操る手綱となります。
その手綱をしっかりと握ることで、私たちの乗る馬は無敵となり、迷うことなく人生を突き進むことが可能になります。
季節の変わり目は、感覚器官が乱れやすく、心も揺れ動く時です。
そんな時、インドでは女神を礼拝するナヴァラートリが祝福されます。
そこで捧げられる女神への祈りは、私たちの内に特別な力となって呼び覚まされ、日々を真っ直ぐに生きる強さを与えてくれます。
巡る季節の中で繰り返しその祈りを捧げる時、その力は究極の目的へと生きる喜びを導いてくれるはずです。
(文章:ひるま)
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