正義の神であるダルマには、ナラとナーラーヤナと呼ばれる双子の子どもがいたと伝えられます。
ナラとナーラーヤナは、生きとし生けるものの安寧のためにヒマーラヤの地で苦行を行い、長きにわたる瞑想を続けました。
バドリーナートとして崇められるその聖地は、今もなお多くの魂を優しく包み込む聖地として尊ばれています。
時を超え、ダルマを守り続けるナラとナーラーヤナは、双子の賢者として現代においても世界にその精神を響かせます。
ナラとナーラーヤナが双子であることは、人間と神の深い繋がりを暗示しているとされます。
叙事詩のマハーバーラタにおいては、アルジュナがナラの化身、クリシュナ神がナーラーヤナの化身として捉えられます。
二人の対話は聖典のバガヴァッド・ギーターにおいて、私たちを教え導く詩句として残されています。
アルジュナは個の魂(ナラ)であり、クリシュナ神は至高の魂(ナーラーヤナ)です。
その対話は、人間と神の結びつきを示唆し、すべての存在の中に神が宿っていることを伝えています。
しかし、アルジュナはクリシュナ神が自らの内にいることを理解することができず、マハーバーラタの戦場で悩み苦しみました。
私たちの抱える問題の根源も、ここにあります。
私たちがナラの支配下にある時、その心は無知でいっぱいになり、多くの混乱を経験します。
しかし、クリシュナ神の内在に気づくと、その心は真の叡智に満たされ、究極の平和が訪れます。
事実、アルジュナはクリシュナ神の声に導かれ、究極の境地に至りました。
そうしてナラがナーラーヤナと一体になり、ナーラーヤナだけが存在することに気づく時、私たちもその究極の境地に至ることが可能になります。
ナラとナーラーヤナは、永遠に共に存在する、不変の伴侶です
それは、至高の魂(ナーラーヤナ)が、常に個の魂(ナラ)と共にいるということを伝えています。
その結びつきが記されたバガヴァッド・ギーターの教えに耳を傾けることで、私たちの魂は至高の魂に強固に繋がり、ダルマを守りながら永遠の真理を生きることができるはずです。
(文章:ひるま)
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