ラージャ・ヨーガの神話

Hindu God Yoga Sutra of Patanjali Statue on Exterior of Hindu Temple

 

聖者マッチェーンドラナータによって始まったハタ・ヨーガは、解脱へと向かうための神秘の術が、肉体的、そして生理的な面から説かれたヨーガとして知られています。一方で、瞑想などを中心に心理的な面から説かれたのが、ヨーガ・スートラで知られるラージャ・ヨーガです。ラージャ・ヨーガは、その根本経典であるヨーガ・スートラを編纂したサーンキャ派の聖者、パタンジャリによって明確にされたことで広く知られています。

この聖者パタンジャリとラージャ・ヨーガの生まれにも、ある神話があります。パタンジャリの名は、「落ちる」という意味の「パトゥ(パータ)」、そして「合掌」という意味の「アンジャリ」の二つの言葉からなり、ある女性の手の平に落ちたことにその生まれがあると伝えられます。

パタンジャリは、ヴィシュヌ神が横たわる千の頭の大蛇アーディ・シェーシャの化身として知られています。ある時、シェーシャに横たわり、シヴァ神の優雅な踊りを見ていたヴィシュヌ神は、その踊りのあまりの美しさに、自らもシヴァ神に合わせリズムをとり始めました。ヴィシュヌ神を支えていたシェーシャは、みるみるうちにヴィシュヌ神が重くなるのを感じます。

シェーシャが理由を尋ねると、ヴィシュヌ神は、シヴァ神のエネルギーに調和をしたからであると答えました。そのエネルギーに圧倒されたシェーシャは、シヴァ神のヨーガを学び伝えることを望み、人間の姿に生まれ変わろうと瞑想を始めます。そしてシェーシャは、子どもを授かることを願い、両手の平に水を汲み神々へ捧げようとしていた信心深いゴーニカーという女性の手の平に落ちました。ゴーニカーの手の平に舞い降りてきた小さな蛇(シェーシャ)は子どもの姿となり、パタンジャリと名付けられたと言われます。

こうしてパタンジャリは、ヴィシュヌ神を通じ得たシヴァ神の偉大なエネルギーを説き始めます。パタンジャリは文法学者であったとも伝えられます。シヴァ神のエネルギーを直接感じ得たパタンジャリの格言(スートラ)を知ることは、ヨーガの真の意味に繋がることにも他ありません。

こうしたヨーガの生まれをたどり、その本来の意味を知ると、より明確なヨーガの目的が見えてきます。それは常に、シヴァ神という最高で不変の存在に調和するためであり、そこにある、絶対の至福に繋がるためなのだと、深く気づかされるように思います。

(文章:ひるま)

参照:http://www.bksiyengar.com/modules/IYoga/legend.htm