大自然の移り変わりと密接に生きる慣習が根づくインドでは、これから結婚に適した時期を迎えます。それは、ヴィシュヌ神が眠りにつくとされるチャトゥルマーサ(聖なる4カ月間)の終わりにあたり、2016年は11月11日です。ヴィシュヌ神が目覚めるこの時、ヴィシュヌ神と妃であるラクシュミー女神のエネルギーが強まり、互いに深く融合し合うと信じられています。
そのエネルギーの融合は、ヴィシュヌ神とラクシュミー女神の結婚として祝福され、純潔の象徴であるラクシュミー女神の化身トゥラシーと、ヴィシュヌ神の姿であるシャーラグラーマへの礼拝が熱心に執り行われます。トゥラシー・ヴィヴァーハとして祝福されるこの聖なる結婚のエネルギーを受けるため、インドの各地ではこれ以降、数多くの結婚の儀礼が執り行われます。
ヒンドゥー教徒の間には、受精から葬に至るまで、生きる間に行うべき通過儀礼とされる16のサンスカーラ(浄法)があり、結婚も16のサンスカーラの一つにあたります。結婚をして初めてその儀礼を執り行うことができるため、インドでは結婚というものが非常に重要視されています。
トゥラシー・ヴィヴァーハは、この儀礼を行う最も吉兆な時の一つであるといわれます。それはまた、神の愛に目覚め、その愛の中に溶け込む個の魂を祝福する、聖なる結婚でもあります。
トゥラシーは、私たちの心身に多くの恩恵を与えると信じられ、インドの文化ではとりわけ神聖視される植物です。心身の浄化に加え、緊張や不安を和らげる作用があるとされるトゥラシーは、純潔の象徴であり、神聖なエネルギーを融合しやすいと伝えられてきました。
トゥラシーのお茶を飲むこと、数珠を用いてマントラを唱えること、それらは純粋なエネルギーを取り入れることに他なく、自身の内で神聖なエネルギーが活発になるともいわれます。それは、トゥラシーが私たちの心を落ち着かせ、自分自身の本質に繋げてくれるからに違いありません。
聖なる結婚にもっともふさわしいこの時、トゥラシーを始めとする大自然との融合を、改めて見つめ直してみたいと感じています。
(文章:ひるま)
参照:http://www.forumforhinduawakening.org/living/tulasi-vivaha
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