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雑記帳

常住不滅の魂

インドの4大聖地のひとつに数えられる東インドのプリーは、ベンガル湾に面する風光明媚な美しい聖地です。
ここでは毎年、クリシュナ神のあらわれであるジャガンナータ神を讃えるための、盛大なラタ・ヤートラーが祝福されます。
この祝祭は、ハレー・クリシュナ運動もあって、現在では世界の各地で祝福されるようになりました。

聖地プリーには、圧巻のジャガンナータ寺院が屹立しています。
とりわけ多くの神秘が伝えられるこのジャガンナータ寺院には、木で作られたジャガンナータ神が祀られています。
ジャガンナータ神が木で作られる理由には、霊性を育む大切な教えを学ぶことができます。

ある時、クリシュナ神が木の側で休んでいると、ひとりの狩人が通りかかりました。
狩人は、クリシュナ神の2本の足を鹿の耳に見間違え矢を放ち、クリシュナ神を射抜いてします。
亡骸を見てクリシュナ神であることを知った狩人は嘆き、祈りを捧げて身体を火葬するも、心臓だけは燃えずに残りました。
そして、狩人のもとに天から声が届き、その心臓を木に結びつけ、海に流すよう促されます。

一方で、プリーを統治していたインドラデュムナという王が、木から現れると夢で予言された神の存在を探していました。
そんなインドラデュムナ王の目に留まったのが、クリシュナ神の心臓が結びつけられた、海に浮かぶ1本の木でした。
その木は、インドラデュムナ王によって、ジャガンナータ寺院で祀られるようになったと伝えられます。

木は時を経て朽ちてくることから、クリシュナ神の心臓を除いて、ジャガンナータ寺院のその神像は定期的に作り直されます。
それは寺院における重要な儀式のひとつになるとともに、バガヴァッド・ギーターの教えを神秘的に伝えています。

人が古い衣服を捨てて、他の新しい衣服を着るように、
個我は古い身体を捨てて、他の新しい身体に入る。

刀剣もそれを切らず、火もそれを焼かない。
また水もそれを濡らさず、風も乾かさない。

これは切られず、焼かれず、濡らされず、乾かされない。
常住にして遍在し、堅固、不動、永遠のものである。
(バガヴァッド・ギーター第2章第22-24節)

物質という肉体を持って生じた私たちは、始まりがあり、終わりがある時の中で、魂の永遠性を見失う瞬間が多くあります。
その移ろう時の中で、心を乱され、さまざまな苦難を経験することも少なくなりません。

広大なベンガル湾で、インドラデュムナ王が見つけたクリシュナ神の心臓は、今でもジャガンナータ寺院で生き、人々を救いに導いています。
私たちも、人生という移ろう航路の中で大海に沈んでしまうことがないように、しっかりとその存在を見つけなければなりません。

神の光に触れるような美しい言い伝えが生きるインドの文化は、私たちの歩みを神聖な世界へと誘います。
自分自身の中心に生きる常住不滅の存在を確かめるためにも、こうした神話を日々の中で大切に抱き続けたいと感じます。

(文章:ひるま)

※ジャガンナータ神にまつわる神話は、この他にも、さまざまなに異なる神話が伝わります。

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