देही नित्यम् अवध्यो ऽयं
dehī nityam avadhyo 'yaṁ
デーヒー ニッティヤン アヴァッディヨー ヤン
この個我は常に殺されることがない
dehī【男性・単数・主格】人間は;(肉体をそなえた)精神は、魂は;個我は、自我は
nityam【副詞】恒久的に、不易に、常に;不変に
avadhyas【男性・単数・主格、未来受動分詞(動詞的形容詞、義務分詞) a√vadh】犯し難い、殺されない、不可殺の
ayam【男性・単数・主格、指示代名詞 idam】これは、これが
देहे सर्वस्य भारत ।
dehe sarvasya bhārata |
デーヘー サルヴァッスヤ バーラタ
すべての身体において、アルジュナよ
dehe【男性・中性・単数・処格】身体において、肉体において
sarvasya【男性・単数・属格】すべての、一切の、各々の;全体の
bhārata【男性・単数・呼格】バラタの子孫よ。ここではアルジュナのことを指す。
तस्मात् सर्वाणि भूतानि
tasmāt sarvāṇi bhūtāni
タスマート サルヴァーニ ブーターニ
それゆえ、一切万物を
tasmāt【男性・中性・単数・従格、指示代名詞 tad】それ故に、そのために、したがって、だから、その結果
sarvāṇi【中性・複数・対格】すべての、一切の、各々の;全体の
bhūtāni【中性・複数・対格】存在物[神・人・動物および植物を含む]を;被創造物を;万物を;世界を
न त्वं शोचितुम् अर्हसि ॥
na tvaṁ śocitum arhasi ||
ナ トヴァン ショーチトゥム アルハシ
あなたは嘆くべきではない
na【否定辞】〜でない
tvam【単数・主格、二人称代名詞 tvad】あなたは
śocitum【不定詞 √śuc】嘆くこと、悲しむこと
arhasi【二人称・単数・パラスマイパダ・現在 √arh】[あなたは]〜できる、資格がある、権利がある;価値がある、匹敵する
देही नित्यमवध्योऽयं देहे सर्वस्य भारत ।
तस्मात्सर्वाणि भूतानि न त्वं शोचितुमर्हसि ॥ ३० ॥
dehī nityamavadhyo'yaṁ dehe sarvasya bhārata |
tasmātsarvāṇi bhūtāni na tvaṁ śocitumarhasi || 30 ||
アルジュナよ、すべての人の身体に宿るこの個我は、常に殺されることがない。
それゆえ、あなたは万物について嘆くべきではない。
※この詩節は、場面を戦場に借りて、高等な観点から個我の非能動性・不可殺性を強調し、
併せてアルジュナに利己心のない本務の遂行を想起させるためのものである。
利己的動機による戦争や殺傷を容認・正当化するものではない(辻直四郎注)。
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