ヨーガの修練によって肉体が完全なものとなる時、私たちは物質を生みだす五大元素を超えていくと言います。それは、五大元素を思いのままに操ることであり、物質であるこの肉体を支配することを意味します。
第三の眼とも言われる六番目のチャクラ、「アージュニャー・チャクラ」には五大元素は存在しません。そこにあるのは「虚空」です。そして、深い瞑想でその虚空へと入り込む時、内なるグルの声に出会うとヨーガの教えは伝えています。そんなアージュニャー・チャクラには「命令」の意味があり、その名の通り、チャクラの司令塔として内なるグルの声を受けながら全身へと命令を伝達しています。
インドの文化の中でグルは神そのものです。私たちの内に潜むグルを見出すことは、内なる神を呼び覚ますことであり、そこから与えられる命令は霊的指示の他にありません。神の指示もまた自分の内から生み出されものであり、それはいつの時も、私たちをより高い意識へと導こうとしています。
地・水・火・風・空という要素を持つそれぞれのチャクラの中で感じる働きを超え、何もない虚空のチャクラを瞑想することは、まさに、肉体を超えたところにある「意識」へと向かう手段そのものでした。このチャクラに集中したヨーガの行いは、感覚や思考を通して見ていた自分を超えていくものであり、ふと、自分とは形のないものだと感じた瞬間があったのも、この虚空を瞑想していた時だったように思います。
形を備える物質の次元でのあらゆる経験は様々な波風を立てながら、私たちを常に大きく揺らし続けています。真摯にヨーガの行いを続ける中でその経験を浄化していく時、第三の眼は開かれ内なるグルの声に導かれながら、私たちは感覚や思考に揺さぶられることのない、その奥深くにある究極の境地へと向かっていくに違いありません。
虚空の中にはあるものは、ゼロであり無です。そこには、欲望やそれに根ざす過去の行い、無意識など、私たちを束縛するものも存在しません。物質を超えたところには、究極の境地へと導く神の教えであり、グルの声、内なる神が安住しているのだと、ヨーガの教えは伝えているような気がします。
(文章:ひるま)
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