インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。
गतसङ्गस्य मुक्तस्य
gatasaṅgasya muktasya
ガタサンガッスヤ ムクタッスヤ
執着から離れ、束縛から解放され
gata【男性 √gamの過去受動分詞】行った、来た、〜に陥った、〜に於ける、〜の中にある、〜に含まれた;消えた、失われた;剥奪させられた、〜を免れた
saṅgasya【男性・単数・属格 saṅga】[〜の、〜にとって]粘着、妨害;〜に執着(または)接触すること
→gatasaṅgasya【男性・単数・属格 gatasaṅga】[〜の、〜にとって]執着から離れた、無執着な
muktasya【男性・単数・属格 mukta(√mucの過去受動分詞)】[〜の、〜にとって](具格、従格)から放たれた、〜から釈放された;ゆるめられた、離された、落下した;弛緩した;捨てられた、中止された;罪(または)存在の束縛から逃れた、解脱した
ज्ञानावस्थितचेतसः ।
jñānāvasthitacetasaḥ |
ジュニャーナーヴァスティタチェータサハ
心が知識において安定し
jñāna【中性】知ること;知識;真の知識、優れた知識;知恵;企図;仮定;意識;感覚器官
avasthita【ava√sthāの過去受動分詞】〜に存する・置かれた・配置された・含まれた;〜に従事している・で忙しい・に献身した;確固とした;固く決心した;着実な、信頼するに足る
cetasas【中性・単数・属格 cetas】[〜の、〜にとって]様子;光輝;自覚;知能;感官;心、精神、意志
→jñānāvasthitacetasas【中性・単数・属格、所有複合語】[〜の、〜にとって]心が知識において確立した、心が知識に安定した
यज्ञायाचरतः कर्म
yajñāyācarataḥ karma
ヤジュニャーヤーチャラタハ カルマ
祭祀のために行為している人にとって
yajñāya【男性・単数・為格 yajña】[〜に、〜のために](祈祷または讃歌をもってする)崇拝;祭式の儀礼、祭式
ācaratas【男性・属格・主格 ā√carの現在分詞】[〜している(人)にとって](対格)に近づく;往来する;(対格)に頼る;用いる、使う;振る舞う、行う;取り扱う;交際する;始める、遂行する
karma【中性・単数・対格 karman】[〜に、〜を]行為、作業;作用、職業;儀式;結果;運命(前世に行った行為の結果)、業
समग्रं प्रविलीयते ॥
samagraṁ pravilīyate ||
サマグラン プラヴィリーヤテー
それは完全に消滅する
samagram【samagraの副詞形】全く、完全に、全体に、すべて、ことごとく
pravilīyate【三人称・単数・アートマネーパダ・現在 pra-vi-√lī】[彼は〜、それは〜]見えなくなる、分解される、破壊される
गतसङ्गस्य मुक्तस्य ज्ञानावस्थितचेतसः ।
यज्ञायाचरतः कर्म समग्रं प्रविलीयते ॥२३॥
gatasaṅgasya muktasya jñānāvasthitacetasaḥ |
yajñāyācarataḥ karma samagraṁ pravilīyate ||23||
執着から離れ、束縛から解放され、心が知識において安定し、
祭祀のために行為している人にとって、行為は完全に消滅する。
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