ヒンドゥー教では、黄金の時代から暗黒の時代へと移り変わる、4つの時代があることが伝えられます。
循環するその4つの時代はユガと呼ばれ、サティヤ・ユガ、トレーター・ユガ、ドヴァーパラ・ユガ、そしてカリ・ユガに続くとされてきました。
この4つの時代が進む間、少しずつ廃れていくと伝えられるのが、正義であるダルマです。
神々は、その廃れるダルマを補填するように化身をして姿を現し、世界を正しく導くと信じられます。
それは、ガネーシャ神も同じです。
循環する4つの時代において、ガネーシャ神はそれぞれ、マホートカタ、マユーレーシュヴァラ、ガジャーナナ、ドゥームラケートゥに化身するといわれます。
現在、私たちは凶悪なカリという悪魔が頂点に君臨するカリ・ユガを生きています。
そのカリのもとで多くの悪が生まれるこのカリ・ユガにおいて、ドゥームラケートゥとなって姿を現すガネーシャ神を見ると、この暗黒の時代を正義と共に生きる力を得ることができます。
ドゥームラケートゥのドゥームラには灰色や煙、ケートゥには炎や旗といった意味があります。
一説に、この姿でガネーシャ神はアビマーナースラという悪魔を倒すと伝えられてきました。
このアビマーナースラは、慢心の悪魔として恐れられてきた悪魔です。
私たちは、カリ・ユガにおいて、あらゆる存在の中に不滅の一者が存在することを忘れ、自分自身の欲望を満たすために行為するといわれます。
我執に覆われたその目で、すべきこととすべきではないことの区別ができなくなると、私たちは真実を見失い、無数の焦慮に苦しめられていきます。
そうして悪が蔓延していくカリ・ユガにおいて、ガネーシャ神はドゥームラケートゥの姿になり、真実を覆い隠す私たちの心の曇りを焼き払うといわれます。
そこで燃え上がる神聖な煙は高く上昇し、不滅の一者の所在を明らかにする旗のように、私たちの知性を正しく導くものとなります。
慢心の悪魔であるアビマーナースラは、誰しもの内に生まれる悪魔です。
その悪魔に支配され暗黒が広がるこのカリ・ユガにおいて、私たちはそんなガネーシャ神の力を呼び覚ます必要があります。
それは、ドゥームラケートゥとなるガネーシャ神へ捧げられる祈りによって可能になります。
その祈りは、内なる世界でアビマーナースラを倒す力となり、私たちを不滅の一者へと導きます。
神々は、常に私たちに寄り添い、その歩みを支えています。
それに気づき、自分自身の内でその力を高める時、私たちは向上の道を着実に歩むことができるはずです。
そして、世界には正義が満ち、黄金の時代が訪れるに違いありません。
(文章:ひるま)
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