焼けるような暑さが続いていたインドの大地に、待ち望んだモンスーンの雨が降り注ぐ季節となりました。
乾いた大地が潤い、生命が息を吹き返す自然の美しさには、言葉にはできないほどの神秘を感じる瞬間があります。
古来より、インドではこの美しい自然の奇跡が崇められ、厳かに神格化されてきました。
そして、このモンスーンの訪れは、「ヴリトラとの戦い」として伝えられることがあります。
蛇の怪物として知られるヴリトラは、混沌と障害の象徴です。
その名が「覆うもの」を意味するように、ヴリトラは生命の源である水を封じ込め、世界の繁栄を妨げました。
しかし、このヴリトラが雷雨の神であるインドラ神によって打ち倒されると、封じ込められていた水が解き放たれ、世界に再び繁栄がもたらされます。
この神話は、私たちの内なる成長を妨げる障壁との闘いを象徴するものでもあります。
心の内に抱え込んだ、恐れ、疑い、怒り、恨みといったネガティブな感情や思考は、まるでヴリトラがそうするように、私たちの成長を阻みます。
これらの内なる障壁に気づき、勇気を持って向き合い、解放することで、私たちは成長の源を豊かに湧き上がらせることが可能になります。
そうして霊的な歩みを鼓舞するこのヴリトラの神話は、自然との調和の尊さをも私たちに語りかけています。
自然の力を阻害することは停滞や困難を招く一方で、その自由な流れは繁栄や調和をもたらします。
これは、私たちが自然を敬い、その神秘的なリズムに身を委ねることで、真の幸福を見出すことができるということを教えてくれています。
闇を切り開く太陽への祈りを捧げれば、私たちは内なる闇と向き合い、それを光に変える勇気を育むことができます。
静かに流れる川に心を澄ませれば、内なる穢れを清め、本質を見抜く智慧を養うことが可能になります。
こうして悠々と動く自然の姿に学び、心の中の「ヴリトラ」を解放しながら歩む時、私たちはより豊かに成長する力を得ることができるはずです。
この世界には、生命の美しさが溢れています。
美しい季節の移り変わりの中、モンスーンの雨が乾いた大地を潤すように、自分自身の魂を潤し、新たな成長の種を芽吹かせる時を過ごしたいと感じます。
自然の神秘に満ちた営みを通じて、私たちの内なる神性が目覚め、真の自己への道が開かれていくことを願ってなりません。
(文章:ひるま)
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