インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。
कामक्रोधवियुक्तानां
kāmakrodhaviyuktānāṁ
カーマクローダヴィユクターナーン
欲望と怒りから離れ
kāma【男性】〜に対する願望、欲望;愛、快楽;利益;性愛;愛の神
krodha【男性】怒り、激怒、憤怒、激情
viyuktānām【男性・複数・属格 viyukta(vi√yujの過去受動分詞)】離された;分離させられた;〜から離された、自由な、に欠乏した、〜を欠いた
→kāmakrodhaviyuktānām【男性・複数・属格、限定複合語】[〜の、〜にとって]欲望と怒りを離れた
यतीनां यतचेतसाम् ।
yatīnāṁ yatacetasām |
ヤティーナーン ヤタチェータサーム
心を抑制した苦行者たちにとって
yatīnām【男性・複数・属格 yati】[〜らの、〜らにとって]指導者;世捨て人、苦行者、隠遁者
yata【√yamの過去受動分詞】抑制された、制御された、阻止された
cetasām【中性・複数・属格 cetas】[〜らの、〜らにとって]様子;光輝;自覚;知能;感官;心、精神、意志
→yatacetasām【男性・複数・属格、限定複合語 yatacetas】[〜の、〜にとって]精神の抑制された、心が鎮静した
अभितो ब्रह्मनिर्वाणं
abhito brahmanirvāṇaṁ
アビトー ブラフマニルヴァーナン
ブラフマンにおける涅槃は近くに
abhitas【副詞】こちらへ、近く、周囲に;全く
brahmanirvāṇam【中性・単数・主格 brahmanirvāṇa】[〜は、〜が]ブラフマン(梵)の中に帰入すること、ブラフマンにおける涅槃、梵涅槃
वर्तते विदितात्मनाम् ॥
vartate viditātmanām ||
ヴァルタテー ヴィディタートマナーム
存在する、自己を知る者たちにとって
vartate【三人称・単数・アートマネーパダ・現在 √vṛt】[彼は〜、それは〜]転ずる、回転する、転がる;進む、進行する、執行される;〜を条件とする、伴う;(ある場所に)ある、止まる、住する、滞在する;存在する、生存する;〜の中に見出される
vidita【√vidの過去受動分詞】〜として確かめられた・知られた・認知された
ātmanām【男性・複数・属格 ātman】[〜の、〜にとって]気息;霊魂;生命、自身;本質、本性;特色;身体;知性、悟性;我、最高我
→viditātmanām【男性・複数・属格、所有複合語】[〜らの、〜らにとって]自己を知った、自己を認識した
कामक्रोधवियुक्तानां यतीनां यतचेतसाम् ।
अभितो ब्रह्मनिर्वाणं वर्तते विदितात्मनाम् ॥२६॥
kāmakrodhaviyuktānāṁ yatīnāṁ yatacetasām |
abhito brahmanirvāṇaṁ vartate viditātmanām ||26||
欲望と怒りから離れ、心を抑制し、自己を知る
苦行者たちにとって、ブラフマンにおける涅槃は近くにある。
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