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雑記帳

帆柱の上の鳥

豊かな霊的叡智が生きるインドにおいて、欠かすことのできないものに、その叡智を教え導くグルの存在があります。
迷える心では時に理解が難しい霊的叡智を会得するには、すでにその道を通った師の導きが欠かせません。
そんな導師として広く崇められるのが、近代聖者のひとりでもあるシュリー・ラーマクリシュナ・パラマハンサです。
そして、シュリー・ラーマクリシュナ・パラマハンサの教えに、ある一羽の鳥にまつわる有名な話があります。

その鳥は、ガンジス川の岸辺に停泊していた船の帆柱の上に、ぼんやりと止まっていました。
やがて、船が海に向かってゆっくりと動き出します。
鳥がそれに気がつくと、すでにどこにも陸地は見えなくなっていました。
鳥は陸地に戻ろうと北の方角へ飛び立つも、陸地は見当たらず、疲れ果てて船に戻り、再び帆柱の上に止まります。

しばらくして、鳥は東の方角へ飛び立ちます。
しかし、その方角にも陸地はなく、どこまでも続く海が見えただけでした。
疲れた鳥は再び船に戻り、帆柱の上に止まります。
しばらく休み、今度は南へ、そして西へと飛び立ちます。
しかし、どこを探しても陸地は見えませんでした。
鳥は船に戻り、帆柱の上に止まりました。
そこには不安も憂慮もなく、鳥はもう帆柱から離れることはなかったといわれます。

私たちが真に求めるものは、今ここにあります。
それは、私たちの中にあり、決して失われることはありません。
どこかにあるそれを求めるのではなく、私たちはただそれに気づく必要があります。
シュリー・ラーマクリシュナ・パラマハンサのこの鳥にまつわる話は、その意味を明々白々と、印象深く私たちに伝え続けています。

しかし、鳥が至る所を飛びまわり疲労困憊したように、それに気づくまで、私たちはこの鳥と同じように努力を重ねなければなりません。
瞑想や修行、礼拝や詠唱など、霊性を育むあらゆる取り組みは、それを繰り返すことで、真実に向けた私たちの歩みを導くものとなります。
この鳥の翼は、その大切な意味を私たちの心に刻み込むように、努力のあり方を示してくれています。

インドには、こうした価値ある教えが豊かに溢れています。
先人たちの尽きない探求によって照らされるその叡智に触れながら、明るい道を歩んで行きたいと感じます。
皆様にもより良いお導きがありますように、心よりお祈り申し上げます。

(文章:ひるま)

参照:Self-effort and Self-surrender (Part 2)

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