インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。
बलं बलवतां चाहं
balaṁ balavatāṁ cāhaṁ
バラン バラヴァターン チャーハン
また私は力ある者たちの力である
balam【中性・単数・主格 bala】[〜は、〜が]力、能力、体力、活力;強力な手段、暴力;効力;〜に熟達したこと;軍隊、軍勢、陸軍
balavatām【男性・複数・属格 balavat】[〜らの、〜らにとって]強い、力のある、力強い;烈しい(欲望等);濃い(闇);肥満した、重い;広く行われる、主要な;(従格)よりも重い・重要な;軍隊をともなった
ca【接続詞】そして、また、〜と
aham【単数・主格、一人称代名詞 mad】[〜は、〜が]私
कामरागविवर्जितम् ।
kāmarāgavivarjitam |
カーマラーガヴィヴァルジタム
欲望と愛執を離れた
kāma【男性】〜に対する願望、欲望;愛、快楽;利益;性愛;愛の神
rāga【男性】激しい欲望、情熱、愛、愛情、同情
vivarjitam【中性・単数・主格 vivarjita(vi√vṛjの過去受動分詞)】〜にとり残された、〜を奪われた、〜を欠く、〜に不足する、〜を免れた;除く、除外する
→kāmarāgavivarjitam【中性・単数・主格、限定複合語】欲望と愛執を離れた
धर्माविरुद्धो भूतेषु
dharmāviruddho bhūteṣu
ダルマーヴィルッドー ブーテーシュ
生類において、法(ダルマ)に反しない
dharma【男性】秩序、慣例、習慣、風習、法則、既定;規則;義務;得、美徳、善行;宗教;教説;正義;公正;法律;性質、性格、本質、属性
aviruddhas【男性・単数・主格 aviruddha(a-vi√rudhの過去受動分詞)】妨げられない;〜に反対しない;〜と敵対しない、〜と一致した;不愉快でない
→dharmāviruddhas【男性・単数・主格、限定複合語】法に反しない、正義に悖らない
bhūteṣu【男性・複数・処格 bhūta】[〜らにおいて、〜らのなかで]存在物[神・人・動物および植物を含む];被創造物;万物;世界
कामो ऽस्मि भरतर्षभ ॥
kāmo 'smi bharatarṣabha ||
カーモー スミ バラタルシャバ
私は欲望である、アルジュナよ
kāmas【男性・単数・主格 kāma】[〜は、〜が]〜に対する願望、欲望;愛、快楽;利益;性愛;愛の神
asmi【一人称・単数・パラスマイパダ・現在 √as】[私は〜]ある、存在する、実在する
bharatarṣabha【男性・単数・呼格 bharatarṣabha】[〜よ]インドの雄牛;インドの後裔、インドの王;アルジュナの呼称、ヴィシュヴァーミトラの呼称
बलं बलवतां चाहं कामरागविवर्जितम् ।
धर्माविरुद्धो भूतेषु कामोऽस्मि भरतर्षभ ॥११॥
balaṁ balavatāṁ cāhaṁ kāmarāgavivarjitam |
dharmāviruddho bhūteṣu kāmo'smi bharatarṣabha ||11||
私は、力ある者たちの、欲望と愛執を除いた力である。
生類において、法(ダルマ)に反しない欲望(カーマ)である。
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