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雑記帳

吉兆の印

インドの生活の中で欠かすことのできない行いに、ティラカ(印)を塗布する行いがあります。主に額に塗布されるこのティラカは吉兆の印とも言われ、インドでは現代社会でも多くの人々がティラカを塗布し、日常を過ごしています。
体の重要なポイントに塗布されるティラカの中でも、特に眉間は重要視されています。眉間は真実を見るための第3の目がある場であり、それは第6のチャクラとしても知られ、霊性を向上させるために極めて重要なポイントとして捉えられています。
ここに塗布するティラカには、ヴィブーティ、クムクム、サンダルウッド・ペーストなどさまざまなものがあります。シヴァ派はヴィブーティ、シャクティ派はクムクム、ヴィシュヌ派はサンダルウッド・ペーストなど、それぞれの宗派や慣習によって塗布されるものや塗布の仕方までさまざまに異なります。
ヴィブーティは神聖灰として知られ、神聖な草木や供物などを火に捧げる儀式において生じた灰が用いられます。一説には、シヴァ神が愛神カーマデーヴァを焼き払ったように、真実を見る第3の目にこの神聖灰を塗布することで、迷いを生み出す世俗的な欲望や願望を焼き払うことを象徴すると言われます。
クムクムは主にターメリック・パウダーに消石灰を加えできた朱粉であり、シャクティ(エネルギー)を象徴すると伝えられます。ターメリック・パウダーはうこんの根の部分を乾燥させたものであり、もともとは大地の中に存在していたものです。大地のエネルギーをそのままに受け持つこのクムクムは、まさに根源のエネルギーであるシャクティを象徴し、偉大なエネルギーを私たちに授けるとも言われます。
サンダルウッド・ペーストは神々が最も愛する神聖な香りと共に、その冷却作用が広く知られています。額がひんやりとする感覚は、緊張や高ぶる感情を静め、そして感じ取る神聖な香りは、心身を深く落ち着かせてくれるものです。その状態は、私たちの内に大きな平安を生み出し、霊性の向上へと導いてくれるものに他ありません。
吉兆の印であるティラカは、まず神像やヤントラに捧げられ、自分自身に塗布するものでもあります。日常生活の中で神像やヤントラにティラカを捧げる行いは、偉大な存在との繋がりを深めてくれるものです。インドの日常で現在でも行われるこうした一つ一つの行いには、自分自身を精神的に育む深い意味が秘められています。
日本では日常生活の中でティラカを塗布することはなかなか難しいかもしれません。ティラカは、塗布する際に触れる第3の目への刺激にも大きな意味があると言われます。日常の礼拝でティラカを捧げる神々との繋がり、また瞑想時などにティラカを用いるだけでも、より大きな恩恵が授けられるかもしれません。
(文章:ひるま)

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