悪の力に支配された混乱から世界を救うため、シヴァ神とパールヴァティー女神の間に生まれたカールッティケーヤ神は、霊的探求の守り神として深く敬われる神格です。
カールッティケーヤ神は、ムルガン、スカンダ、スブラマニヤ、クマーラなど、世界の各地でさまざまに異なる名前で崇められます。
その中に、「秘密の場所で育てられた者」という意味を持つ、「グハ」という別名があります。
カールッティケーヤ神は、蓮の花が咲き誇るシャラヴァナ湖のほとりで生まれたと伝えられます。
「葦の茂み」という意味を持つシャラヴァナ湖は、静寂に包まれた神聖な湖として描かれるように、霊的な奥深さを感じさせる湖です。
この秘めやかな湖で生まれたことに、カールッティケーヤ神がグハと呼ばれるひとつの理由があるとされます。
「秘密の場所」という意味を持つグハは、「洞窟」を示す言葉でもあり、日常を超えた霊的な境地や、そこに至る内面の探求を象徴するものとして捉えられてきました。
こうした神秘的な意味を持つグハには、もうひとつ、「心」という意味もあります。
カールッティケーヤ神は、私たちの心の奥深くに秘められた究極の真実を守る頼もしい神格です。
そんな慈悲深いカールッティケーヤ神は、母のパールヴァティー女神から授けられた槍を手にしています。
この槍は知識の象徴であり、何にも勝る武器となって、世界を混乱に陥れた悪を打ち倒しました。
そうして知識の化身としても崇められるカールッティケーヤ神は、グハとして、真の悟りが表面的なものではなく、内面的な深い理解の中にのみ見出されるという事実を示しています。
カールッティケーヤ神は、グハとしてあらゆる存在の心に宿ります。
洞窟が安全な場所を与えるように、カールッティケーヤ神は私たちの心の中で、常にその霊的な探求を守り続けています。
そんなカールッティケーヤ神への祈りは、私たちに内省と自己探求を促すと信じられます。
その力は、私たちが恐れることなく自分自身の内面に深く潜り、究極の真実に向かうことを後押ししてくれるものです。
このカールッティケーヤ神の力によって、時に混乱する自己の理解も静かに深まり、霊性の道を強く歩むことができるはずです。
(文章:ひるま)
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