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ムドラー

カーキー・ムドラー

知能が高くその賢さで知られるカラスは、私たちの霊的な歩みにおいて、象徴的な比喩として捉えられることが多くあります。
カラスの形を真似る、カーキー・ムドラーもそのひとつです。
カーキーはカラスを意味し、口をカラスのくちばしのように尖らせて行うこのムドラーは、集中力を高めるムドラーとして知られます。

ムドラーには手の形を用いるハスタ・ムドラーがありますが、こうした目、鼻、口、耳、舌を用いたムドラーはマナ・ムドラーと呼ばれます。
カーキー・ムドラーは、その実践法からプラーナーヤーマ(呼吸法)として取り入れられることが多く、それは私たちをより高い意識に導く力があるとされます。
このムドラーの実践によりプラーナ(生命力)の流れが円滑になり、ナーディー(気道)が浄化され、根源のエネルギーであるクンダリニーの覚醒が促されるということに理由があります。

カーキー・ムドラーの実践は、ゆったりと座った姿勢で行います。
背筋を伸ばし、口をくちばしのように尖らせ、口からゆっくりと息を深く吸い込みます。
その後、一時的に呼吸を保持した後、鼻からゆっくりと息を吐き出します。
この時、舌はリラックスさせておくことで、空気の流れがよりスムーズになります。

カーキー・ムドラーの実践においては、吸い込む空気の冷たさを感じることで、火照った体を落ち着かせる効果があるとされます。
また、顔の筋肉を引き締めることから、若返りの効果もあると伝えられるなど、身体的にも多くの恩恵があるムドラーです。

このムドラーが集中力を高めるムドラーとして実践されるように、唇を通して微細な空気の流れに集中することで、外部の雑音から心を遠ざけることも可能になります。
そうして得られる平静は、霊的な成長を阻む心の喧騒や感情の動揺を落ち着かせる力を持つものです。

口をくちばしのような形にして呼吸を制御する行為は、霊的な栄養を選び取り消化する力を象徴するものでもあります。
それは、カラスが食べ物を慎重に選ぶように、霊的な養分を吸収することを示しています。
注意深く周囲を観察するカラスの姿に学びながら、カーキー・ムドラーの実践を通じて自分自身と深く向き合い、その集中の中でより豊かな霊性の歩みを進めていきたいと感じます。

(文章:ひるま)

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