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インド音楽

53、第2Chakra:SvadhisthanaとRaga

Meditation power

生殖器にあるとされる「第2Chakra:Svadhisthana」は、生殖器、膀胱と関わり、感受性、情緒、欲、性、を司ると言われますが、これこそ、「恒常性のバランス作用」を理解するとしないとでは大きく話が変わって来ます。「恒常性のバランス」は、「相反するものの共存」であり、体がどちらかに傾くと、一方が活性化しその状態を是正するシステムです。

音楽に於ける「相反」とは、音階(及び旋法)の中での各音が持つ性質と役割が、「帰結、収束、安定、協調、共和」と「出発、発散、躍動、緊張、対峙」の大きな二つの役割に大別されることを意味します。西洋音楽でも「緊張の音=Tension-Note」などと一部について語っていますが、インド科学音楽〜古典音楽では、全てに関して綿密に定義しているのです。そして、これは生命体の健康(正常)を維持する恒常性に於ける二大分類「収斂と発散」と全く符合するのです。

基本音階の7音で、「第2Chakra:Svadhisthana」と関連付けられている音は、第二音の「Reshav(レシャヴ/ドレミのレ)」ですが、「レを重視(強調)する」ということは、他の音にも増して非常に大きな意味を持ち、それは二つの相反する意味合いと符合し、更にReshavの存在意義も相反する意味合いによって大きく二つの意味(解釈)を持ちます。

ひとつは、「Sadaj/ド」が帰結すべき音であり、最も安定的であるならば、「Reshav/レ」は、非常に不安定であり、帰結していない、中途半端であるという解釈です。もうひとつは、この逆説で、「Sadaj」に帰結するのは当たり前であり、それでは「何も始まらない」。故に「Reshav」は、大いなる「第一歩」であり、「出る=始まる=活きる」などの象徴であるという解釈です。

実際、「Sadaj」に留まっていては、ある意味「引きこもり」な訳ですが、さりとて「Reshav」で留まっているということは、家の外でばかり遊んで居たら、閉め出されて家に入れず、玄関や庭で途方に暮れるようなものです。

また、「Sadaj」は、「始まりであり、終わりである」つまりShiva神の領域であると言え、「Reshav」こそは、「営み、生きる」ことの象徴であり、Vishnu神の領域であるとも言えます。また、漢字を導入する前の日本語の「いく」は「生く、活く、行く」のいずれもが同源同義な言葉であることを示唆し、この解釈と通じています。

同様に、「Sadaj」への執着が強いということは、「親離れ出来ていない」ということでもあり、「Reshav」への展開、逃避傾向が強いということは、抑圧、閉塞からの脱出欲求が強いという傾向も含み得るとも考えられます。また良い意味で、前者は、「母性」と関わり、後者は「父性」と関わると解釈することが出来、ひいては「安定願望」と「発展、開拓願望」とも関わるということが出来ます。

しかし、いずれにしても、「恒常性」の真理の中では、互いに作用し合って、ニュートラルに収まるということが大切なのであり、偏っていては健康でないばかりか、「樹を見て森を観ない」生き方なうえに、その「樹」が病んでいるのでは、話になりません。

このように、第2Chakra:Svadhisthanaとそれに関わるRagaは、その専門分野において、虚弱を活性化させるとともに、過剰を抑制し、ニュートラル(恒常的に健康である状態)を導くことのほかに、心と体全体においては、「出発、始まり、活性、希望、成長、向上」を象徴するものと言えます。しかし、それも大きなサイクルで考えれば「戻る、帰る、帰結する」ことを前提にしたものであり、小さなサイクルでは、「寄せては返す波のような摂理」に基づくものであることも忘れてはならないということが、科学音楽の「第2音:Reshav」の性質から考えることが出来るのです。

(文章:若林 忠宏

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