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インド音楽

97、季節と一日の時間帯

「意識」が抱くイメージと「心と体」に伝わるものの違い
インド古典音楽の旋法:ラーガには、その用いる基本音列(所謂『音階』にほぼ同義)の音によって、「演奏すべき時間帯」や「季節」が定められています。

当コラムでも前述しましたが、これこそ「極めて形而上学的な側面のひとつ」と言えます。何故ならば、この概念に於いては、私達が感じる「時間や季節のイメージ」と「音を聴いて感じるもの」などが全く無視されているからです。

そもそも日本人とインド人では、「時間帯」や「季節」に対するイメージは大きく異なるでしょう。日本人は、怪談などで「草木も眠る丑三時」などのフレイズによって、「夜は怖い・物騒だ」という感覚がありましょうが、インド人(ヒンドゥー教徒)の場合、「神々の宴の時間帯」的なイメージもきっと強いと思われます。つまり日本人が「幽霊が出る」と恐々とする深夜の闇に、インド人は、神々や妖精をイメージするかも知れないという大きな違いがあるのです。

余談ですが、幽霊と言えば、或る時インド人の友人と「日印幽霊怖さ比べ」をしたことがあります。私が「日本の幽霊は足が無いんだぞ! どうだ怖いだろ!」と言ったら、友人は、「無いのか?!」「なら全然怖くないさ!」「なにしろインドの幽霊は、踵が前でつま先が後ろなんだぜ」「それ以外は全く普通の人間のように思って話しをして居て、良く見れば!」と返されました。
確かに言われてみれば、日本の幽霊に勝っているような気もしました。

このように、人種や民族、個人によって多様に変化する「感覚(Ahamkara)」やイメージ、固定観念や常識を遥かに超越した「不偏で普遍的な(しかも、内面的で本質的な))関連性」が、「音と時間帯/音と季節」の関係性である訳です。

一方、単に全てが「形而上的」ではなく、極めて「現実的な側面」もあります。

アーユルヴェーダに少し詳しい方ならご存知のことですが、一般に「元凶」的な解釈に偏っているきらいもあります「Tri-Dosha」(この名称の字義自体が元凶的なので、しかたがない部分もありますが)と「時間帯」の関係との「ラーガ(旋法)」とその「音」との関わりです。これは極めて現実的な概念であり、科学であるということが出来ます。

「Tri-Dosha」の三つの要素は、良く言って「燃焼・活性」「運化(運搬・代謝)」「鎮静・熟成」ですが、悪く言って(バランスが壊れた場合)「活性過剰・亢進」「流れ過ぎる」「固まる・滞る」でもあります。

つまりあくまでも「バランス」であると同時に「タイミング」なのです。更にそれらの「バランス」と「タイミング」は、「消化・吸収・代謝・還元・解毒のサイクル」という大きな流れと、そのスケジュールの上に成り立っています。

そして、これらは「天体の一日と一年の動き」とも当然のごとく、深く関わっています。古代インド科学音楽では、それらの「自然の摂理」の上に成り立った「大きな流れとサイクル」に基づいて、その「ラーガ(旋法)」とその「音」との関わりを説いています。

従って、生命体の外側(Annamaya-Kosha/食物鞘)の動きの一日の中での変化「働く~休む」といったものについてだけの単純で安直な解釈ではなく、体の奥底で、夜間も地道に繰り広げられている「働き」に応じて、「旋法;ラーガ」の、より相応しい音が「時間帯や季節」に対応して定められているのです。しかもそれは、生命体の「外側から三番目の層:Manomaya-Kosha/意思鞘」及び、更にその内側に直接的に作用すると共に、「外側から二番目の層:Pranamaya-Kosha /生気鞘」に対しても「二番目の層」を介して間接的に働き、後述します「臓器や酵素等の様々な『作業現場』のそれぞれに、順に作用するのです。

東洋医学専門家も陥る大誤解

アーユルヴェーダ・インストラクターさんの中には、誤解?説明不足?も少なからず見られますのが、この「タイミング」の解釈です。

例えば「食物の摂取→消化吸収→代謝活用」の流れの中で、多くのインストラクターさんが、「生命体の三つのステージ(現場)」のご説明と、「時差」についてのご説明に大きな不足か考え落ちがあるようです。つまり、「朝起きて仕事をし、夜休み、睡眠を取る」という「人間の社会的(対外的)な行動のサイクル」と、「体の内部の働き(作業)のサイクル」を分別出来ず、混同して説明していることの問題です。

「三つの現場(ステージ)」は、「胃腸」「小腸・肝臓・腎臓」「腸内細菌と代謝回路」ですが。まず、食物は、言う迄もなく、「胃腸」で「栄養素の塊」に変化されます。これには、健康で元気な者でも二三時間要します。その後、「小腸・肝臓・腎臓」に於いて、「利用可能な栄養素」に「変換(第一次的な代謝)」が為されます。ここでも二三時間、またはそれ以上の時間が必要です。

その後、同じ栄養素が、幾つかの「代謝回路」によって、様々な「部品(素材)的な栄養素」に細かく変換され、各部署に運ばれ、そこでの過不足に応じて、更に「再加工(再代謝)」されます。これには、第一陣でさえも二三時間必要で、その後の「再代謝」は、その後も続いてくり返されます。

恐らく、現代医学(現代西洋系)も、現存(現代解釈)の東洋医学でも、ここに存在する「生命体の基本的な大矛盾を見逃している」か? もしくは、「そもそもの不理解」があります。

それは、「殆ど全ての生命体が、太陽の動き(日中と夜間)の24時間に合わせて活性している」という大原則と。しかし「現実的には、上記の消化吸収・代謝には、最低でも九時間・十時間必要である」という大矛盾・大問題です。

更に加えて、何らかの不調や病気、精神的な弱さを持っていれば、当然この「ギャップ(自然のサイクルに対する消化吸収・代謝還元の作業能率の隔たり)」はより大きくなります。

言い換えれば、「Tri-Doshaの偏り」もまた、その「ギャップの問題」がより根底にあり、更に大きな問題は、その「ギャップを作り出してしまった原因」に在る、ということが出来る筈なのです。

故に、現在のアーユルヴェーダの主流である、「Tri-Doshaのバランス改善・是正」もまた、「現代西洋化学対処療法」的であるとさえ言えるのです。

つまり「健康で長生き」を目指すのであるならば、「一日三度の食事を改める」か、七時間・八時間で負担無く吸収出来るような「食物の質と消化吸収代謝の効率向上を計る」が大前提の基本である訳です。

しかし、この理解と意識で説いている専門家を、私の知る限りでは日本でも現地でもほとんど見ることがないのです。

最後までご高読下さりありがとうございます。

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是非ご参考にして下さいませ。

Hindu Chant講座Vol.1

Hindu Chant講座Vol.2

Hindu Chant講座Vol.3

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Vedic Chant入門講座(基本理解編)

Ayurveda音楽療法紹介(基礎理解編)

アーユルヴェーダ音楽療法 (実践編1)

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(文章:若林 忠宏

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