ヨーガの思想について説かれるダルシャナ・ウパニシャッド。
サーマ・ヴェーダに付属するそのウパニシャッドでは、マユーラーサナと呼ばれるヨーガのポーズについて説かれます。
マユーラはクジャクを意味し、現代では強力な解毒効果のあるポーズとして実践されています。
インドの国鳥でもあるクジャクは、神々の側に描かれることも多く、古代より崇高な存在として捉えられてきました。
大きく羽を広げた豪華絢爛な姿は、輝きや高潔さをあらわす一方で、毒虫や毒蛇を好んで食す、その高い解毒力が神聖視されています。
そんなクジャクの名を持つこのポーズの実践は、私たちの内のもっとも強い毒を取り除くと信じられています。
クジャクによって消化される毒虫や毒蛇は、私たちのもっとも強い毒である欲望や執着を象徴します。
私たちの内なる世界には、無数の毒虫や毒蛇が渦巻き、時に私たちを悩ませ、苦しませます。
このポーズに取り組む時、そうした欲望や執着という毒が消化され、精神的な幸福が授けられると信じられます。
マユーラーサナが持つ解毒効果は、そのポーズの過程で、マニプーラ・チャクラが刺激されることにあります。
太陽神経叢に関連し、身体の中心に位置するマニプーラ・チャクラは、このポーズで肘を深く臍の周囲に入れる過程で刺激されます。
火を象徴し、消化を司るマニプーラ・チャクラがこのポーズによって正常に働き始めると、消化力が向上し、ネガティブなエネルギーすらも消化できるようになるといわれます。
マユーラーサナは、強い体幹力と確かなバランス感覚を必要とする難しいポーズの一つです。
身体の中心に繋がるこのポーズを繰り返し練習することは、何よりも、身体と心の調和を促します。
マニプーラ・チャクラの働きによってあらゆる毒素が消化され、健康な心身を得る時、そこでは究極の至福にたどり着くことができるはずです。
ヨーガのポーズは、決して身体的な取り組みだけを意味するのではありません。
その一つ一つには、精神的な恩恵を授ける深い意味が秘められています。
そうした意味を理解しながらポーズに取り組む時、より大きな恩恵を感じることができるに違いありません。
(文章:ひるま)
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