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雑記帳

雨を告げる鳥

毎年、3月の下旬から焼かれるような暑さが続くインド亜大陸。
6 月を過ぎると、だんだんと雲が押し寄せ、生きとし生けるものの命を潤す恵みの雨が降り注ぎます。
およそ4ヶ月にわたるモンスーンの始まりです。

モンスーンは「季節風」を意味しますが、夏の季節風による雨季や、その雨を意味する言葉としても用いられます。
乾いた大地に濃い緑をもたらすモンスーンの訪れは、諸所に漲る生命力を感じる美しい瞬間です。
この鮮やかなモンスーンの訪れを象徴する、チャータカと呼ばれる鳥がいます。

チャータカは、和名をクロシロカンムリカッコウという、カッコウ科の野鳥にあたります。
カンムリという名前がついているように、後頭部に冠羽があるのが特徴です。
このチャータカが鳴くとモンスーンが始まると伝えられることから、雨を告げる鳥として崇められてきました。
そんなチャータカには、霊性を育む重要な象徴を見ることができます。

チャータカの冠羽は、まるでくちばしのようです。
言い伝えでは、チャータカは湖や池、川といった場所から水を飲むことはなく、その頭のくちばしから、降り注ぐ雨の雫だけを飲むと信じられてきました。
チャータカは喉が渇くと、水を欲して鳴き、天はそれに答えて雨を降らせるともいわれます。

このチャータカの姿は、世俗に関心を向けずに、真実を求めることに集中する探求者の象徴とされてきました。
目に見える喜びに心を惑わされ、満たされない思いをすることも少なくない私たちは、そんなチャータカの姿に学ばなければなりません。
そこでは、乾いた大地を余すところなく潤す雨のように、私たちの欲望を完全に満たす、真実という知識がふんだんに降り注ぐはずです。

モンスーンの始まりは、1年のなかでとりわけ神聖な時とされ、霊性修行を行う重要なシュラーヴァナ月となります。
モンスーンに入ると、命を育む多くの雨が降ることから、至る所で小さな命が動き出します。
その命を奪うことがないように、古くからこの期間は移動を控え、霊性修行を行い知識を得ることに集中する時でもありました。

こうした美しい自然の巡りと共に生きる日々には、豊かな人生を送るための叡智が溢れています。
その叡智が生きるインドの文化に学び、自然と調和しながら、常に真実を欲する心を持ち続けたいと感じます。
皆様にとって、これからの時が実りある時となりますように、心よりお祈り申し上げます。

(文章:ひるま)

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