4月16日の満月は、お猿の神様であるハヌマーン神の降誕祭が祝福される時です。
ハヌマーン神は、ヴィシュヌ神の化身であり正義の象徴として崇められるラーマ神に献身的に使える姿が有名です。
そんなハヌマーン神には、バガヴァッド・ギーターの中心人物であるアルジュナとの間に伝えられる神話があります。
ハヌマーン神はアルジュナに、ラーマ神が弓術に長けた偉大な英雄であると伝えたことがありました。
アルジュナは、ラーマ神が弓術に長けた偉大な英雄であるなら、インドとランカー島を結ぶ橋の建設に、猿軍の助けを借りる必要はなかったと口にします。
そして、弓矢で橋を築くことができたはずだともいいました。
それを聞いたハヌマーン神は、アルジュナに弓矢で橋を築くように訴えます。
同じく弓術の達人であったアルジュナは、誇らしく弓矢で橋を築くと、ハヌマーン神にその橋を渡るようにいいました。
しかし、怪力の持ち主であったハヌマーン神がその橋を渡ると、橋はあっという間に崩れてしまいます。
アルジュナは落ち込み、命を絶つことすら考えた時、ある賢人が現れ、もう一度その橋を築くように促しました。
再び築かれた橋をハヌマーン神が渡ると、その橋は崩れませんでした。
その時、橋の下にはヴィシュヌ神の円盤型の武器であるスダルシャナ・チャクラがあり、橋を強固に支えていました。
そして、それを教えるために現れた賢人こそがヴィシュヌ神でした。
この神話は、人生という戦場を歩む時、最強の敵となるのは、自らのプライドであるということを伝えています。
自分自身が偉大だと思いこみ、すべてを支える神の存在を忘れた瞬間、私たちは自らを滅ぼす道に向かいます。
それは、知識や技術に対する自惚や過信も同じです。
バガヴァッド・ギーターの場面が描写される時には、アルジュナが乗る戦車の旗に、必ずハヌマーン神の姿があります。
それは、この過ちに気づき、許しを求めたアルジュナに対し、ハヌマーン神が常にその旗にいて、アルジュナを守ると約束したことがひとつの理由にあるとされます。
ハヌマーン神は、ラーマ神という正義を思う心から生まれる強さをもって、障壁を次々に乗り越えていく果敢な姿が広く崇められます。
さまざまな困難が待ち受ける人生という戦場を歩む道では、そんなハヌマーン神の姿勢を忘れることがないように、ハヌマーン神を旗に掲げる必要があります。
その時、私たちはどんな困難にも打ち勝つ力を発揮し、正しい道をまっすぐに進むことができるはずです。
(文章:ひるま)
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