満ち欠けをする月には、それを形容する美しい言葉が多くあります。
満月を過ぎ、姿を見せることを躊躇うような様がいわれる、十六夜(いざよい)もそのひとつかもしれません。
3月の満月に祝福される、色粉や色水を掛け合うホーリー・フェスティバルは、そんな明媚な時に祝福される祝祭です。
ホーリー・フェスティバルは、満月の日の夕刻に行われるホーリカー・ダハンと、その次の日に行われるドゥランディーの2日間にわたります。
ホーリカー・ダハンでは、悪を祓う火の儀式が行われ、自分自身や周囲を浄化します。
次の日のドゥランディーでは、浄化された清らかな心身で色粉や色水を掛け合い、喜びを共有します。
このホーリー・フェスティバルにはさまざまな神話が伝わりますが、その中には、クリシュナ神にまつわる神話もあります。
喜びを広めるクリシュナ神の姿が常にカラフルであるように、歓喜が溢れるホーリー・フェスティバルを通じては、そのクリシュナ神の姿に喜びの意味を学ぶことができます。
そんなクリシュナ神は、16の術を備えた完璧な化身として伝えられます。
その16の術は、たとえば、以下のように伝えられます。
ダヤー:思いやり
ダイルヤ:忍耐
クシャマー:許し
ニヤーヤ:正義
ニラペークシャ:公平性
ニラーサクタ:無執着
タパスヤー:霊性修行
アパラージャヤ:無敵
ダーナシーラ:慈善
サウンダルヤマヤ:美しさ
ヌリティヤジュニャ:最高の踊り
サンギータジュニャ:最高の歌
ニーティヴァーディー:道徳
サティヤヴァーディー:誠実
サルヴァジュニャター:全知
サルヴァニヤンター:全支配
この16の術は異なって伝えられることがありますが、これらは与えられた人生において私たちが学ぶべきものに他ありません。
これらの実践によって、人生は彩られたように豊かになります。
そうして日々を喜びで満たすことは、クリシュナ神が教え導く霊性の実践そのものです。
しかし、日々をひとえに生きる人生を思うと、これらの実践は容易なことではないことがわかります。
だからこそ、こうして巡る自然の中で訪れる祝祭を通じてその意味に向き合い、日々の中で繰り返し実践する必要があります。
そうすれば、やがてこれらの術を身につけ、クリシュナ神と一体になる究極の喜びを知ることができるはずです。
これから迎える春の美しい満月に、その意味を見つめ直したいと感じます。
(文章:ひるま)
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