真理探究の奥義書といわれるウパニシャッドには、3つの「ダ」にまつわる有名な教えがあります。
万物の創造神であるプラジャーパティによって示された、現代にも生きる価値ある教えです。
ブリハッド・アーラニヤカ・ウパニシャッドに見られるこの教えは、時を超えて、私たちにその秘奥を示し続けています。
この教えは、宇宙の父であるプラジャーパティのもとで学びを続けていた、神々、人間、悪魔に示されたものです。
それぞれが学びを終えようとしたとき、神々、人間、悪魔はプラジャーパティに最後の教えを求めました。
最初に神々がプラジャーパティに教えを乞うと、プラジャーパティは「ダ」とだけいいました。
神々はそれをダマ(自制)と理解します。
次に人間がプラジャーパティに教えを乞います。
すると、プラジャーパティは再び「ダ」といいました。
人間はそれをダーナ(布施)と理解します。
最後に悪魔がプラジャーパティに教えを乞いました。
プラジャーパティは同じように「ダ」といいます。
悪魔はそれをダヤー(慈悲)と理解しました。
この神々、人間、悪魔という3つの存在は、私たちの内なる世界にも存在しています。
それは、心に働きかける3つの性質、サットヴァ(純質)、タマス(暗質)、ラジャス(激質)として見ることもできます。
「ダ」を通じて得る答えは、それぞれの性質ごとに異なり、私たちはそれを理解し、実践すべき行いを努める必要があります。
不滅で無限の喜びに耽る神々は、太刀打ちできず手に負えない傾向があるため、自制することを学ぶ必要がありました。
利己的で貪欲な人間は、他者に与えることで所有を手放し、苦難を生み出すエゴを小さくする必要がありました。
残酷で人を傷つけ他者の悲しみを喜ぶ悪魔は、意識的に慈悲の心を育む必要がありました。
そして、この3つの「ダ」は、雷雲の間から現れたと伝えられます。
プラジャーパティはこの教えを示すとき、自らの姿を現すことはありませんでした。
それは、私たちが与えられた日々において自らの欠点に気づいていれば、この大きな世界の恩寵によって、その欠点を克服し成長していくことができるということを物語っています。
古代から時を超えて受け継がれる叡智は、豊かな自然を通じて、変わることのない真理を示し続けています。
こうした叡智に学びながら、霊性を育み、実りある人生を歩んでいきたいと感じます。
(文章:ひるま)
参照:Brihadaranyaka Upanishad Section II - The Three Great Disciplines
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