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マハーシヴァラートリ

シヴァ神の愛とパールヴァティー女神の祈り

神々の息吹が身近に感じられるインドの地には、人々の暮らしに根ざした多くの美しい啓発的な神話が伝わります。
その中に、シヴァ神が漁師になりパールヴァティー女神を救い出すという興味深い神話があります。
南インドのタミル・ナードゥ州に伝わるティルヴィライヤーダル・プラーナに見られる神話です。

この神話は、シヴァ神がパールヴァティー女神にヴェーダの奥義を説いていた時に始まります。
その途中、パールヴァティー女神は思いを逸らし、集中力を失ってしまいました。
これに憤ったシヴァ神は、パールヴァティー女神に地上で漁師としての再生を命じます。

その言葉どおり、パールヴァティー女神は漁村の長である漁師の娘として生まれ変わりました。
しかし、時が経つにつれシヴァ神は側にいないパールヴァティー女神を恋しく思うようになります。
それでも、パールヴァティー女神は漁師と結ばれる運命にあり、シヴァ神はパールヴァティー女神を取り戻すことができませんでした。

シヴァ神の忠実な従者である牡牛のナンディは、シヴァ神を助けるべく、巨大なサメとなって漁師たちを困らせ始めます。
これにより、パールヴァティー女神の父親である漁師は、サメを倒した者と娘を結婚させると約束しました。
パールヴァティー女神もまた、シヴァ神にサメを倒してくれるように祈りを捧げます。
これによって、シヴァ神は漁師に生まれ変わりそのサメを倒すと、再びパールヴァティー女神と結ばれたと伝えられます。

パールヴァティー女神がヴェーダの学びにおいてその集中を欠いたように、物質世界で生きる私たちはさまざまな誘惑に心を奪われがちです。
しかし、シヴァ神の限りない愛は、そんな私たちを救い出し、本質へと導く偉大な力を持っています。
その力に触れるには、パールヴァティー女神がそうしたように、心からの祈りが欠かせません。
シヴァ神の愛に気づきなら、その祈りとともに生きる時、私たちは本質から離れることなく日々を歩むことが可能になります。

ティルヴィライヤーダル・プラーナが伝えられた南インドのタミル・ナードゥ州は、長い海岸線を持ち、美しい海が広がる風光明媚な地域です。
そこで漁師という存在に重ねられるシヴァ神は、世俗の海から魂を引き上げ、私たちを本質へと導く象徴として見ることもできます。
シヴァ神は常に私たちの側にいて、その歩みをまっすぐに守り続けているということを、この神話は優しく教えてくれています。

(文章:ひるま)

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