インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターのサンスクリット原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。
अनन्तश्चास्मि नागानां
anantaścāsmi nāgānāṁ
アナンタシュチャースミ ナーガーナーン
私はナーガ(龍族)におけるアナンタである
anantas【男性・単数・主格 ananta】[~は、~が]アナンタ[龍王の名];[ヴィシュヌ神、シェーシャ、その他の人名] 【形容詞】終わりなき、極限なき
ca【接続詞】そして、また、~と
asmi【一人称・単数・パラスマイパダ・現在 √as】[私は~]ある、存在する、実在する
nāgānām【男性・複数・属格 nāga】[~らの、~らにとって]蛇、龍(族)[とくに地獄のボーガラティーと名付ける城邑に住む人面蛇身の伝説的な半身族の名];象;ある生気(嘔吐を催させる);[数種の植物の名];[人名];[山嶽の名]
वरुणो यादसाम् अहम् ।
varuṇo yādasām aham |
ヴァルノー ヤーダサーム アハム
私は水棲族におけるヴァルナ(水天)である
varuṇas【男性・単数・主格 varuṇa】[~は、~が]ヴァルナ[ヴェーダ神話の中に重要な地位を占める司法神でアーディティヤ神群の主長、(天上の)水と密接な関係をもち、全知にして罪を罰し、宥恕を乞われ、また病気を送るとされる。しばしばミトラ神またはインドラ神と結合される]
yādasām【中性・複数・属格 yādas】[~らの、~らにとって]淫蕩;大きな水棲動物、海の怪物 【男性名詞】[ヴァルナ神の称]
aham【単数・主格、一人称代名詞 mad】[~は、~が]私
पितॄणाम् अर्यमा चास्मि
pitṝṇām aryamā cāsmi
ピトリーナーム アリヤマー チャースミ
そして私は祖霊におけるアリヤマンである
pitṝṇām【男性・複数・属格 pitṛ】[~らの、~らにとって]父 【両数形】両親; 【複数形】祖先;父とその兄弟、父方の親戚;先祖、祖霊
aryamā【男性・単数・主格 aryaman】[~は、~が]親友、仲間;媒酌人;アリヤマン[アーディティヤに属する一神にしてかつ祖先(pitṛ)の首長と信じられる神の名];太陽
ca【接続詞】そして、また、~と
asmi【一人称・単数・パラスマイパダ・現在 √as】[私は~]ある、存在する、実在する
यमः संयमताम् अहम् ॥
yamaḥ saṁyamatām aham ||
ヤマハ サンヤマターム アハム
私は制御者におけるヤマである
yamas【男性・単数・主格 yama】[~は、~が]双生児[両数形:ふたご、アシュヴィン双神の称];[ヴィヴァスヴァットの双生児の一方の名、他方の妹をヤミーといい、この両者は最初の一対の人間と称せられる];[ヴェーダでは、ヤマは、死んで天界にある祖先を支配する神;古典サンスクリットでは、下界を支配する死の神で、その名は征服者または処罰者の意味と考えられ、また、マヌ(最初の人間)の弟で南方の支配者とされ、讃歌・法典の作者と想像される];土星 【形容詞】一対をなした
saṁyamatām【男性・複数・属格 saṁyamat(saṁ√yamの現在分詞)】[~らの、~らにとって][~している]保持する、(手綱を)引きしめる;抑止する、(馬を)御す;(頭髪を)結ぶ、縛る、束縛する;(戸を)閉じる;阻止する、抑圧する、中止する;制止する、服従させる
aham【単数・主格、一人称代名詞 mad】[~は、~が]私
अनन्तश्चास्मि नागानां वरुणो यादसामहम् ।
पितॄणामर्यमा चास्मि यमः संयमतामहम् ॥२९॥
anantaścāsmi nāgānāṁ varuṇo yādasāmaham |
pitṝṇāmaryamā cāsmi yamaḥ saṁyamatāmaham ||29||
私はナーガ(龍族)におけるアナンタ、水棲族におけるヴァルナ(水天)、
そして祖霊におけるアリヤマン、制御者におけるヤマである。
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