今回は、i、īで終わる女性名詞の格変化を紹介します。
前回は、iで終わる男性名詞、中性名詞を挙げましたが、
女性名詞になると少し異なった語尾をもちます。
まずは、iで終わる女性名詞です。
कीर्ति- kīirti- 栄光
बुद्धि- buddhi- 知恵、知性
भूमि- bhūmi- 大地
मति- mati- 思考、考え
श्रुति- śruti- 天啓書(ヴェーダ聖典)
स्मृति- smṛti- 伝承書(法典や叙事詩など)
*バガヴァッドギーターは第5のヴェーダとも言われますが、本来はस्मृति- smṛtiです。
次に格変化を表で見てみましょう。
kīrti- (女性名詞、栄光) | |||
単数 | 両数 | 複数 | |
主格 | kīrtiḥ | kīrtī | kīrtayaḥ |
対格 | kīrtim | kīrtī | kīrtīḥ |
具格 | kīrtyā | kīrtibhyām | kīrtibhiḥ |
為格 | kīrtaye | kīrtibhyām | kīrtibhyaḥ |
奪格 | kīrteḥ | kīrtibhyām | kīrtibhyaḥ |
属格 | kīrteḥ | kīrtyoḥ | kīrtīnām |
処格 | kīrtau | kīrtyoḥ | kīrtiṣu |
呼格 | kīrte | kīrtī | kīrtayaḥ |
iで終わる男性名詞と比べてみると、
単数の具格、複数の対格の語尾が異なっています。
その他は同じです。
次に、īで終わる女性名詞です。
īで終わる女性名詞には女神の名前になっている単語が多いので
みなさんにも馴染みのある単語が多いかもしれません。
पार्वती- pārvatī- パールヴァティー(シヴァ神の妃)
काली- kālī- カーリー(シヴァ神の妃、語源はkāla- 「黒い」)
योगिनी- yoginī- ヨーギニー、女性のヨーガ行者、魔女
*「ヨギーニ」という言葉で広まっていますが、サンスクリット語では「ヨーギニー」が正しい発音です。
लक्ष्मी- lakṣmī- ラクシュミー(ヴィシュヌ神の妃)
語尾が、iで終わる女性名詞とはだいぶ違っている部分があるため、
注意が必要になります。
kālī- (女性名詞、カーリー女神) | |||
単数 | 両数 | 複数 | |
主格 | kālī | kālyau | kālyaḥ |
対格 | kālīm | kālyau | kālīḥ |
具格 | kālyā | kālībhyām | kālībhiḥ |
為格 | kālyai | kālībhyām | kālībhyaḥ |
奪格 | kālyāḥ | kālībhyām | kālībhyaḥ |
属格 | kālyāḥ | kālyoḥ | kālīnām |
処格 | kālyām | kālyoḥ | kālīṣu |
呼格 | kāli | kālyau | kālyaḥ |
たとえば、カーリー女神に祈るときは、
為格+namaḥで、
ॐ काल्यै नमः।
oṁ kālyai namaḥ.
のようになります。
i、īで終わる女性名詞を使った例文
(1)पार्वती शिवस्य सुन्दरी सती पत्नी।
pārvatī śivasya sundarī satī patnī.
「パールヴァティーはシヴァ神の美しく貞淑な妻である。」
पार्वती / pārvatī- パールヴァティー女神(女性名詞、単数、主格)
शिवस्य / śiva- シヴァ神(男性名詞、属格、単数)
सुन्दरी / sundarī- 美しい(形容詞sundara-、女性形、主格、単数)
सती / satī- 善良な(動詞√as 〔ある〕の現在能動分詞sat- 女性形、主格、単数)
पत्नी / patnī- 妻(女性名詞、主格、単数)
(2)बगलामुख्या अर्यः बुद्धि विनष्टा।
bagalāmukhyā aryaḥ buddhi vinaṣṭā.
「バガラームキー女神によって敵の知性は滅ぼされた。」
बगलामुख्या / bagalāmukhī- バガラームキー女神(女性名詞、具格、単数)
अर्यः / ari- 敵(男性名詞、属格、単数)
बुद्धि / buddhi- 知性、知恵(女性名詞、主格、単数)
विनष्टा / vinaṣṭa - (vi√naś 〔滅ぶ〕の過去受動分詞)→滅ぼされた(女性形、主格、単数)
(文章:prthivii)
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