日照時間が短くなり、暖かく明るい光を欲する季節になりました。
そんな時に勧められるヨーガの実践に、パーシャ・アーサナと呼ばれるねじりのポーズがあります。
パーシャには、「結び目」や「輪」という意味があり、パーシャ・アーサナは広く「輪縄のポーズ」として知られています。
ヒンドゥー教の神々は、この輪縄であるパーシャを手にして描かれることが少なくありません。
輪縄のポーズは、身体をねじりながら腕を輪縄のようにして縛りつける、難易度の高いポーズに数えられます。
身体を中心から深くねじることにより、臍のあたりにあるとされるマニプーラ・チャクラが活性化すると伝えられてきました。
火の要素を持ち、太陽神経叢に対応するマニプーラ・チャクラは「宝石の都市」とも呼ばれ、私たちの身体の中心で、太陽が万物にエネルギーを注ぐように、宝石のごとく輝いているのだといわれます。
そんなマニプーラ・チャクラに働きかけるこのポーズは、かかとを床につけたまま、両足を揃えてしゃがむことから始まります。
そして、上半身を左側へねじり、両ひざの外側から、右腕を背中の方へ回します。
さらに、左の肩を後ろに引いて上半身をねじり、左腕も背中の方へ回します。
胸を大きく開きながら、背中に回した右手で左手を掴みます。
反対側も同様に行います。
このポーズにおいては、かかとを床につけてしゃがむことができなかったり、不安定な姿勢で上半身をねじることができなかったり、硬直した身体のせいで両手を背中で掴むことができなかったりと、さまざまな困難を経験します。
それはまるで、多くの障壁が立ちはだかる人生に束縛され、必死にもがく自分自身のように感じることがあります。
輪縄を意味するパーシャは、個人を束縛する不純物としても捉えられてきました。
その不純物には、アーナヴァ(無知)、カルマ(行為)、マーヤー(幻力)の3種類が存在するといわれます。
こうした不純物に束縛された私たちは、人生の中でさまざまな障壁や困難に直面しなければなりません。
神々が手にする輪縄は、こうした不純物を縛り付け、私たちを解放すると伝えられるものです。
私たちは、この困難なポーズの実践を通じて、その輪縄を使う方法を習得する必要があります。
その実践の過程においては、自らの内で火の要素が高まり、自分自身の内で途切れることなく燃え続ける光に気づくことが可能になります。
その時、私たちはあらゆる障壁を克服し、光の中で自由に生きることができるはずです。
(文章:ひるま)
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