スピリチュアルインド雑貨SitaRama

雑記帳

絆の中で

南インドのケララ州は、インドの中でも際立ってキリスト教が広く普及している地域です。寺院に代わって教会があちらこちらに立ち並び、街を行き交うシスター達の姿を見かけると、まるで、どこか違う国に来てしまったかのように感じることがあるほどでした。
そんなキリスト教の普及活動の中で進められた教育制度の充実によって、社会福祉が他州よりも飛びぬけて整っているこの地域に滞在しながらも、どうしても見過ごせなかったものがやはり貧しさです。そして、12億人を超える人口を抱え、貧困が深く蔓延るこの国がどうやって成り立っているのか不思議に思いながら人々の生活を見ていると、ある大切な答えを見せられました。
社会を秩序よく成立させるための物や制度がない場合、必要となるのは人間同士の助け合いです。特に信頼できる家族や親類の間での協力は必要不可欠であり、古くから合同家族の生活が基盤となっているインドの社会では、今でも多くの物事が家族での助け合いによって成り立っています。
この地を訪れ始めて10年。少しずつ物が増え、以前よりもぐっと生活が楽になっても、家族や人々の間に存在するその絆は決して変わっていないことに気が付きます。そして、神にも深く示されたその目に見えない絆の強さこそが、このインドの世界の精神性を深く育んでいるのだと思えてなりません。
インドの人々が決して怠らない家族と共に行う祈り、そして、その時間の中で家族と共にあるという、ただそのシンプルな日常に人は安らぎを得るのだと感じます。人が神を讃え、神が人を繋ぐ。私たちは何と引き換えに、この上ない至福を手放してしまったのか。ここで暮らす人々の生活がそんな問いを投げかけると共に、重要な事実を教えてくれたように思います。
大切なものを思い出しながら、私は、目に映る光景も、肌に触れる熱さも冷たさも、匂いも音も、喜びも悲しみも、全てを遠慮なく与えてくれるこの国を、心から愛してやまないのだと改めて実感しています。そして、広大なインドをゆっくりと時間をかけて眺めたこの縦断の旅の中で、その多様な文化と伝統の中で誰もが共有する深い絆を見た今、何かと繋がりたいとそう切に願ってやみません。
(文章:ひるま)

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


RANKING

DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  1. 1
  2. 2
  3. 3

CATEGORY

RECOMMEND

RELATED

PAGE TOP